第2章 出会いと再会 2

電話越しでもあからさまに残念がる父の様子が光司にも伝わっていた。


父の剛三は昔から光司よりも4つ年上の優秀な兄、誠司を将来の自分の跡取りと考えて大切にしていた。


そんな期待を一身に受けて育った兄を嫌っているわけではなかったが、普段問題児として振る舞っている光司が父の本音を知って何も思わないはずはなかった。


「相手の令嬢20歳だろ? 兄さんじゃ年が離れすぎてるよ」光司


いつものようになんてことないようにそう返すと剛三は納得したのか諦めたようなため息を一つ吐いた。


「とにかく、お前もそろそろ身の振り方考えろ。 わかったな」剛三


そう言うと一方的に電話を切った。

光司は通話の途切れた携帯を数秒見つめた後、すでに着替え終わっていたその身を再び乱れたベットに預けた。


「政略結婚か……」光司


静かに思考を巡らせているその時、放置していた光司の携帯の画面が光った。


あれからしばらく経っても日和は部屋から出ることは叶わなかった。


日和は机に置いている時計を確認すると時刻はもう15時をとっくに過ぎていた。


思わず心の中でため息をつくと読んでいた語学の本を静かに閉じた。


すると日和は立ち上がり本棚の中からシェイクスピアの1冊を取り出すと栞をはさんでいるページを開いて現れたのは1枚の写真だった。


それは、10年前に撮った血の繋がらない兄の彰人と日和が二人で初めて一緒に撮った思い出の写真だった。

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