第2章 出会いと再会 1

その頃、とあるホテルのベットの上で遅めの起床をした人物は枕元に置いていた携帯の着信に気付き気だるげに電話に出た。


「はい…だれ…?」光司


「父親に向かって誰とは何だ!!?」剛三


「父さんか…」光司


まだ寝起きの思考に届いた父親の怒号がまるで金属音のように響いた。


眉間にしわを寄せながら体に覆っていた白い掛け布団を剥ぐと全裸だった彼は起き上がるのとほぼ同時に隣りに視線をやると昨夜一緒に過ごした相手の女性は紙切れ1枚のメモを残してとっくにその場を後にしていた。


勝手に帰ってくれたことにどこかほっとしたような安心感を抱きながら昨夜の残骸を拾い集めていた。


「大体お前、またホテルに女連れ込んだのか?!」剛三


「お前自分の立場分かっているのか?」剛三


「立場って…?」光司


電話をスピーカーにすると適当な棚の上にぽんっと置いて話の片手間で集めた服に着替え出した。


「そのままの意味だ! さっき誓約書を書いてきた」剛三


晃司は父親のこの発言に思わず耳を疑った。


「ちょっと待てよ、本当にあれにサインしたのか?」光司


「いくら財閥でも普通にあんなの用意するなんておかしいだろ」光司


光司は提示された誓約書の内容を知っていた。それだけにあっさりと書いてきたと報告する父親につい本気で電話越しに意見すると剛三は呆れたように返した。


「お前は黙ってろ! 女遊びの激しい次男のお前が財閥のご令嬢と結婚出来るだけでも有り難いと思え!」剛三


耳の痛い言葉に光司はつい返す言葉がなく無言を続けていると剛三はつい本音を漏らした。


「はぁ、しかしなぜ長男の誠司じゃなくてお前がご令嬢の相手なんだ…誠司なら時期に俺の跡を継ぐのに」剛三

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