第7話 アフリカ単一起源説
(6)
――古き小さなヨーロッパ
それについては自然人類学の学説である「アフリカ単一起源説」を述べた方が良いかもしれない。
何故ならこの説から「Art(アート)」の源流(オリジン)である古き小さなヨーロッパの存在を認めないといけないからだ。
この説は地球上のヒト(ホモ・サピエンス・サピエンス)の祖先はアフリカで誕生し、その後世界中に伝播していったとする、自然人類学の学説である。
これは仮説として19世紀に進化論で有名なチャールズ・ダーウィンが主張もしており、アフリカで誕生したホモ・サピエンスの先祖がやがて現生人類(ホモ・サピエンスとして)世界中に伝播していったとしている。
ではそれが古き小さなヨーロッパとどう関係があるのか?
アフリカを出たホモ・サピエンスはアラビア半島沿岸部を伝って現在のイラン付近に至り、そこから3ルートに別れた。
それらはそれぞれインドから東南アジア、オセアニア方面にむかう「南ルート」、中央アジアを経由してアルタイ山脈、東アジア、北アジア方面に向かう「北ルート」、中東からヨーロッパに向かう「西ルート」の3方向である。
そして「西ルート」に向かって移動した集団が、後の古き小さなヨーロッパを作り出すホモ・サピエンスの先祖である。
結論を言えば此処で別れ残りの二つのルートを辿り、各地で文明を起こしたホモ・サピエンスの子孫達は、やがて「Art(アート)」の外世界、――つまり「外輪郭世界(アウトサイダー)」となり、ここに前述した「ボビンと糸」の基礎が出来るのである。
その為にここでは自然人類学の学説である「アフリカ単一起源説」を引用させてもらった。
その古き小さなヨーロッパこそ、「Art(アート)」の源流(オリジン)であり、そこで幾時代に渡って血潮が流されてゆき、やがて巨大な「Art(アート)」の源流(オリジン)というボビンになってゆくのである。
これを歴史的な区分として「原始的Art(プリミティブアート)」と、この随筆家(エッセイスト)は恐れ多くもそう定義している。
そう定義して話を進めたい。
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