反撃
ルマンダはオイゲンのそばに近寄った。彼は服従魔法で操られている。その魔法を解いて意識を取り戻さねばならない。ルマンダは呪文を唱えてオイゲンの額を右手で触った。
「・・・・オイゲンよ! 目覚めよ!・・・」
だがなかなか服従魔法は解けない。オイゲンはルマンダを突き飛ばそうとした。だがルマンダはそれをはねのけ、さらに大きな声を上げて右手に力を入れた。
「目覚めよ! オイゲン! オイゲン!」
するやっとオイゲンの目に生気が戻った。
「お、おら・・・何をしていた・・・」
「オイゲンさん。説明は後です。とにかく私たちを襲っているオオラットーを排除してください」
「あ、ああ・・・」
オイゲンは大声を上げた。するとオオラットーは一斉にキャラバン隊から離れていった。ジークももう少しでオオラットーにかみ殺されるところだったが、間一髪、命拾いした。
メガネズラーはライティの首にかみついていたが、オオラットーが引き上げるのを見て作戦が失敗に終わったことを知った。
(こうなればせめて憎きライティだけでもかみ殺してやる・・・)
メガネズラーはさらにライティの首を深く咬んだ。額の炎はもう消えそうなほどになっている。その戦いを見ていたジークがオイゲンに言った。
「オイゲン! 今度はオオラットーにあの召喚獣を襲わせてくれ!」
「あ、ああ・・・」
オイゲンはまた訳が分からないままに声を上げた。するとその辺にまだいたオオラットーが今度はメガネズラーに向かって行った。そしてその巨体のあちこちをかじり始めたのである。これにはさすがのメガネズラーも、
「ウガーガッガッガ・・・」
叫び声を上げてライティを離した。そして体を大きく震わせてオオラットーを振るい落として次々に足で踏み潰した。その凄惨さに残りのオオラットーは逃げ出していった。
一方、ライティは大きなダメージを受けてまだ立ち上がれない。それを見てメガネズラーは考えた。
(もうライティに戦う力は残っていまい。それよりこのメガネズラーでキャラバン隊を粉砕してくれる!)
メガネズラーは少し後ろに下がった。ここから突進して結界を破ってしまおうというのだ。確かにその勢いがあれば結界は破壊されて宿営地は踏み潰され、壊滅的な被害を受けるだろう。
メガネズラーはキャラバン隊に向けて突進した。ライティの目にはそれが入っていた。このままでは危ない・・・ライティの体がとっさに動いた。
「バーン!」
ライティは突き出たメガネズラーの角を押さえてがっちり受け止めていた。だがメガネズラーの突進力は強力だった。ライティは結界のすぐ前まで押されてしまった。もう後がない。メガネズラーはさらに力を込めて押してきた。ライティはなんとか踏ん張ってそれを止めていた。
その光景を見ていたジャック隊長が叫んだ。
「ライティを援護する! 各自、召喚獣に向けて一斉攻撃!」
リーナとジュールが結界を解いた。するとまずメレが矢を放ち、ダルレが槍を投げた。続いてテームズがファーストレンジを繰り出し、トロイカがナイトブレードを放った。その攻撃のすさまじさにメガネズラーは、
「ウガガ・・・」
と悲鳴を上げた。そこにさらにリーナがサンダー、ジュールがホリーナイトの魔法で攻撃した。稲光とまぶしい光がメガネズラーを包んだ。その衝撃によるダメージにさすがのメガネズラーも耐え切れず、後ろに下がった。
「よし! 今度は俺だ!」
ジャック隊長が剣を抜いた。
「ナイツ オブ ナイン!」
すると9人の馬に乗った騎士が空中に並び、次々にメガネズラーに突撃していった。その9回に及ぶ衝撃にメガネズラーはひっくり返った。
最後はライティだった。まだ体にダメージが残るものの、態勢を整えて必殺技を放った。
「クラッシュストライク!」
額から発射された光線はメガネズラーをとらえた。
「ウガガッガガ・・・」
メガネズラーは断末魔の叫びとともに塵になって消えていった。戦いはようやく終わった。ライティは痛めた首をさすると、そのままゆっくり上を向いて空中に飛び出した。その姿は空に彼方に消えていった。
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