無謀なカーナ
カーナは町はずれに向かっていた。するとその前方にはゴーレムの姿が見えた。もう町に入って建物を破壊している。
「ゴーレムだわ! それじゃあ、あの方がきっと現れるわ!」
カーナは目を輝かしてそれを待っていた。そこにソミオが駆け寄って来た。町はずれに向かうカーナの姿を遠くから発見して、後を追いかけてきたのだ。
「カーナさん! ここは危険です! 早く逃げましょう!」
「いやよ! あの方が私たちを助けにきっと来られるのです。私はあの方に会ってお礼が言いたいのです」
それを聞いてソミオは困惑した。ライティは自分が変身した姿だ。だがそれは秘密にしなければならない。カーナに告げるわけにはいかないのだ。
「その気持ちはライティには伝わっているはずです。だから逃げましょう」
「いや! 絶対にいや! もう少しであの方は現れるわ! ここで待つの! そんなに逃げたければあなた一人で逃げなさい!」
カーナは言うことを聞こうとしない。それどころか、ソミオを振り切ってさらに前に走っていった。
(私が呼べば、あの方が助けに来てくれるわ。きっと!)
カーナはそう思って大声で叫んだ。
「ライティ様! 出て来て! 私たちを救って!」
その声でゴーレムはカーナに気付いた。早速、彼女を踏み潰そうと近づいて右足を大きく上げた。
「きゃあ!」
ゴーレムの右足が頭上に迫り、さすがのカーナも悲鳴を上げた。このままではカーナは踏み潰されてしまう・・・。
だが一瞬、早くソミオが追い付き、カーナを引っ張って横に逃れた。ゴーレムの足の振動が2人を震わせ、砂煙が立っていた。
「自分が何をしているかわかっているんですか! 逃げるんです!」
「・・・」
カーナは恐怖で茫然自失になっていた。ソミオはゴーレムから逃げため、半ば強引にカーナを抱えるように逃げた。
一方、ゴーレムも逃すまいと追ってきた。このままでは追いつかれて2人とも踏み潰されてしまう。ソミオはその状況を感じながらカーラに言った。
「しっかりしてください! いいですか! 合図したらあなたは建物の横の路地に入って逃げてください。僕はゴーレムを引き付けます」
ソミオの言葉にやっとカーナは我に返った。
「それではあなたが・・・」
「僕は大丈夫です。行きますよ。さあ、今だ!」
ソミオはカーナを路地の方に追いやった。そして振り返って大きく手を振ってゴーレムを挑発していた。
「ここまで来い! このうすのろめ!」
ゴーレムはソミオめがけて向かってきた。もはやカーナのことなど忘れたように・・・。
カーナは路地をしばらく走って振り返った。もう自分は大丈夫だが、大通りでソミオがゴーレムに追われていた。彼は皮脂に逃げていたが、やがて追いつかれてしまい、ゴーレムの右足がソミオを踏み潰そうとしていた。
「あっ!」
あまりの光景にカーナは目を閉じて両手で顔を覆った。
ソミオは踏み潰されようとした瞬間、右手で首飾りを引きちぎり、頭上に掲げて叫んだ。
「ライティ!」
するとソミオの姿は光に包まれて消え、空にライティが出現させた。
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