終わりのない戦い

 その戦いの映像をモリードの屋敷でリーナたちが見ていた。ジャック隊長たちが劣勢なのは明らかだった。


「宿営地に戻るよ! 隊長たちを助けなくちゃ!」


 リーナが立ち上がった。それに応じてハンカやジーク、そしてソミオも立ち上がった。だがそれをモリードが止めた。


「およしなさい。あれはイモータルゾンビ。魔法をかけられて不死となった兵士です」

「しかしこのままでは隊長たちが・・・」

「あなた方にあれを倒せる方法があるのですか?」

「それは・・・」


 リーナは言葉に詰まった。そのそばで寝かされているルマンダが少し体を起こして言った。


「私の計算では確かに勝ち目はありません。まともに戦うより別の方法を考えるしかありません」

「だからと言って放っておけないよ! あたいだけでも行く!」


 ハンカはそう言うとそのまま出て行った。


「私も行くわ。仲間を見捨てておけない」


 リーナも部屋を出た。その後にジークとソミオが続いた。部屋の中にはモリードとルマンダが残された。


 ◇


 宿営地の前でジャック隊長はゾンビの男たちと死闘を繰り広げていた。だが生き返る相手に苦しんでいた。その時、リーナたちが駆けつけてきた。


「隊長! 加勢に来ました」

「リーナか! こいつらは倒しても生き返る。注意しろ!」

「わかっています。私たちもこいつらに襲われて町の人の屋敷に逃げ込んでいたのです」


 そう言ってリーナは呪文を唱えた。


「サンダー!」


 雷が男たちに降り注ぎ、感電して倒れた。だがすぐに起き上がってくる。


「あたいも戦う!」

「俺もだ!」


 ハンカが得意のイエム武術で男たちを倒していき、ジークは念動力で男たちを跳ね飛ばしていった。しかしいくら戦ってもらちが明かなかった。


 ◇

 宿営地前でジャック隊長たちとゾンビの男たちが戦っている映像はモリードの屋敷の部屋でまだ流されていた。それを見ながら、


「仕方がないですな・・・」


 モリードがため息をついた。そんな彼にルマンドが声をかけた。


「モリードさん。あなたはあのゾンビを倒す方法をご存じですね」

「私が? まさか?」

「いえ、あなたはあのゾンビのこともご存じだった。それに私をここに瞬間移動させたぐらいだから、あなたの力は計り知れない・・・私はそう考えました」

「それは買い被りだ。私は少し魔法が使えるだけだ」

「いえ、それだけではないはずです。あなたには強大な力がある。しかしそれを使うのを恐れている。どういういきさつであなたがそうなさっているのかはわからない。でもあなただけが私たちを助けられる」


 ルマンダはそう言った。目の前でジャック隊長たちが苦戦している映像が映し出されている。


「お願いです。私たちを助けてください」


 モリードはじっとルマンダを見つめた。彼は何かを思い出しているのか、その顔には苦悩の色が浮かんでいた。


「わかりました」


 モリードはそう言うと立ち上がった。その顔は厳しい表情をしていた。彼は指をパチンと鳴らした。するとその姿が急にそこから消えた。


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