ルマンダ襲撃
ルマンダはリーナたちを探していた。幸い4人組の足跡が残っていたのでそれを追えばよかった。彼らは東南の町はずれまで来ていたようだ。
(なぜ、こんなところに?)
ハンカの占いでこの方向に来たなどルマンダには到底理解できなかった。だが彼女はそこで思わぬものに遭遇した。それはあのゾンビと化した男たちの一団だった。
ジュローはルマンダを見てニヤリと笑った。
「あれはキャラバン隊の副官のルマンダ。いいところで会った」
ジュローが合図すると男たちはルマンダを取り囲んだ。
「何なんですか? あなたたちは」
「キャラバン隊のルマンダだな。ここで死んでもらう! 行け!」
男たちがルマンダに襲い掛かって来た。四方からルマンダを押さえつけ、その上から重なり、その姿は男たちの中に消えた。中で袋叩きになっている・・・と思いきや、「バーン!」と男たちを弾き飛ばした。それはすごい力だった。男たちは地面に倒れ、ルマンダは立ち上がった。
「あなたたちが我が隊の者を襲ったのですか?」
「ああ、そうだ。逃げられたけどな。しかしお前を逃しはしない」
「私に敵うと思うのですか?」
「ああ、そうだ」
すると地面に倒れた男たちは立ち上がって来た。
「これは!」
「フフフ。我らは不死身のゾンビだ。力尽きるまで戦うがいい」
男たちはルマンダに迫って来た。
「ホーリーライト!」
ルマンダは魔法を使って男たちを倒していった。しかし男たちはまた立ち上がる。
(これでは力が尽きるか、魔法力がなくなるかのどちらかだわ。ここは一旦脱出して・・・)
ルマンダは男たちを投げ飛ばしながら道を開き、その包囲から何とか脱出した。しかし男たちが追ってくる。ルマンダは後ろを振り返りながらも必死に走った。
◇
屋敷に招かれたリーナたちは次第に気が緩んでくつろいでいた。主人のモリード相手に旅の話絵で盛り上がっていた。その時、急に軽やかな音楽が流れた。それは聞いたことのない音色だった。
「ちょっと失礼。どなたか見えられたようだ」
モリードが指をパチンと鳴らした。すると空間に映像が浮かび上がった。
「えっ!」
リーナは声を上げた。浮かび上がる映像も驚きだが、そこに映し出されたのはゾンビの男たちに追われるルマンダの姿だった。彼女はかなりのダメージを受けているようだ。その顔が映し出されたとき、モリーダの穏やかな顔に驚きの表情が一瞬、現れた。
ハンカはすぐに立ち上がった。
「大変! 助けなくちゃ!」
彼女が玄関に走ろうとした。だがモリードが止めた。
「およしなさい。相手が悪い」
「しかし襲われているのはあたいの仲間なのよ! 放っておけないわ!」
「私も助けに行くわ!」
リーナも立ち上がった。するとモリードは微笑を浮かべながら言った。
「ではこうしましょう」
モリードは指をパチンとならした。すると映像からルマンドの姿は消えた。そしてその部屋の中に彼女が現れた。襲撃によって体にダメージを追い、魔法力もほとんど使い果たして気を失いかけていた。
「こんなことが・・・」
リーナは絶句していた。とても信じられないことが起こったのだ。魔法であってもこんな瞬間移動なんかできっこないと。他の者も驚いて唖然としていた。
「このソファに寝かせましょう。手伝ってください」
モリードの言葉にはっと我に戻ったリーナたちは、すぐにルマンダを抱えてソファに横にならせた。そしてリーナは声をかけた。
「今、魔法力を充てんするからね」
リーナは両手をルマンダの体に当てた。するとルマンダの体がきらめき、魔法力が注ぎ込まれた。それでルマンダが目を開けた。
「助かりました。」
ルマンダが立ち上がろうとすると、モリードが止めた。
「まだ体は元に戻っていないようだ。このままで」
そう言われてルマンダは起き上がるのを止めた。しかし口を開いてリーナに言った。
「この町にホワイエがいるというのは敵が流した偽情報です。我々をここに滞在させて襲う算段だったのでしょう。私はあなた方を呼び戻しに来たのです」
「忘れていたけど、私たちはあのゾンビのような男たちに追われていたのよ。幸いこのモリードさんにここに避難させていただいているわけ」
「モリード
ルマンダはそばにいる若い男を見て、首をひねった。彼女はどこかでその顔を見た記憶があったのだが、急には思い出せなかった。
「そういえば追ってきた男たちはどうなったのですか? あれは敵の手の者です。いくら倒しても起き上がって来たのです」
ルマンダがそう言うと、モリードが空中に浮かぶ映像を切り替えた。そこは宿営所の近くだった。ゾンビ化した男たちがそこに向かっている映像が映し出されていた。
「あなた方の宿営所に向かったようです」
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