第5章100話:上へ

ガーゴイルを倒した私は、そのまま通路を歩き始めた。


通路は上にも下にも続いていたが、目標は頂上に到達することなので、上へ進むことにする。


進む。


進む。


進む。


やがて。


通路の行き止まりに、洞窟が現れた。


ふたたび洞窟内部へと入る。


もちろんスキル【フレアライト】を使用する。


しばらく歩く。


魔物は見当たらず、サクサクと奥へ進むことができる。


5分ほど歩いたあと。


大きな広い部屋にたどりついた。


中央に巨大な断崖がある。


断崖の向こう岸には、上へ続く階段がある。


断崖の下は真っ暗で何も見えない。


(最初の部屋に似てるな……)


あの部屋には石橋があった。


しかし今回の部屋に、石橋はない。


代わりに、半径2メートルほどの円盤がいくつも、断崖の上に浮遊していた。


まるで、それを飛び移りながら、断崖の向こう岸まで渡れ……と言わんばかりだ。


「ギミック系のダンジョンだなぁ」


と私はつぶやく。


とりあえず、あの浮遊する円盤につたっていくしかない。


私は、一番手前の円盤に飛び乗った。


「っと」


円盤は、とても安定している。


私が飛び乗った衝撃で揺れたりもしない。


これなら、向こう岸まで渡れなくもないだろう。


(なかなか怖いけどね……)


高所恐怖症だったら、パニックを起こしかねないような場所だ。


気を抜いたら、断崖の下にさかさまである。


足を踏み外さないように、注意しなければならない。


「っと、ほいっと」


次の円盤へと飛び移る。


さらに次の円盤へと飛び移る。


そのときだった。


「!!?」


バサバサと翼の音を立てながら、何かが迫ってきた。


コウモリの魔物だ!



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