第5章99話:高度

別の道があったんだろうか?


引き返すか?


いろいろ考えたが……


そのとき、ふと私は思い至った。


(この岩壁……登れないかな?)


ラティーバル岩山の攻略は、頂上を目指すものだ。


ならば、岩壁を登っていけば、攻略が進むのではないか?


そう考えた。


「よし、登ろう」


今の私なら岩壁ぐらい、よじ登れる。


私は、ジャンプで掴まれそうな出っ張りを探した。


お……あの出っ張りはいいかも?


さっそく跳躍して、右手で出っ張りを掴む。


左手も、つかまれそうな出っ張りにつかまり、足も壁にくっつける。


岩壁にへばりついた状態。


「よし、次」


さらに私は、高い位置にある出っ張りに手を伸ばす。


ロッククライミングの気分だ。


岩壁の突起や出っ張りに手足を乗せながら、上へ上へとよじのぼっていく。


やがて、30メートルほどのロッククライミングを終えて、通路にたどりつく。


「うわぁ……高いなぁ」


高度120メートルはあるかと思えるほどの場所。


さきほど見晴らした場所よりも、数段すうだん高度が上だ。


ゆえに見える景色も、かなり高い。


圧巻である。


(落ちたら……死ねるね)


などと考えてしまう。


この高さから転げ落ちようものなら、レベルが上がった今の私でも命の危険があるだろう。


しかし、ずいぶん高いところまで登ってきたなぁ……という達成感もある。


「キャカカー!!」


おっと。


魔物がいたようだ。


くちばしの生えた石の悪魔……ガーゴイルである。


私はゴレムソードをアイテムボックスから取り出した。


すぐさま構える。


そしてガーゴイルに斬撃を浴びせて、一撃で斬り殺した。


ガーゴイルが倒れる。


こいつはどうやら食べられないようだ。


全身が石で出来ているからだそうだ。


まあ、食べる気になれない魔物だったから、別にいいけどね。


とりあえず死体だけは回収しておく。



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