第5章98話:行き止まり

(瞬迅、強すぎ)


と私は苦笑しそうになった。


まさに雷速らいそくで動けるスキルだ。


私の動体視力が追いつかないので、直線移動は可能なものの、曲線的な移動はできないが……。


それでも圧倒的な速度と、速さを乗せた攻撃力を実現できる。


(地竜も、結構ラクに倒せたしね……これで私、ドラゴンスレイヤーを名乗れたりするのかな?)


なんて思いながら、私は地竜の頭上からゴレムソードを引き抜く。


そして地面に降り立った。


私は地竜の遺体をアイテムバッグに収納する。


中ボスは突破できた。


この調子でどんどん進むぞ!






中ボス部屋の奥にあった通路を進む。


ここから雑魚敵ざこてきも、一段、強くなった。


地竜の小型化した魔物―――ミニサラマンダーが頻出する。


結構硬いけれど、私は一匹ずつ丁寧に処理していった。


やがて。


上へと続く坂道があった。


その坂道を登っていくと、洞窟の出口が見えた。


洞窟を出る。


すると、そこは50メートルほどの高さの崖だった。


「わぁ……」


50メートルもの高度から見晴らす島の景色。


とても美しく、雄大だ。


空は青く、海も青い。


ただ、私は景色を拝みにきたわけではない。


周囲を見回す。


左から崖に沿って坂道が伸びていた。


さらに山の上へと続いている通路のようだ。


私は、その通路を歩きはじめる。


視界の左には岩壁、視界の右側は崖だ。


歩く。


歩く。


歩く。


上へ、上へと坂道さかみち通路つうろを登っていく。


やがて。


地上から90メートルほどの高度の場所に辿り着いた。


行き止まりである。


(んー……? ここから先にはいけないのかな?)


正面は崖。


右も崖。


左は岩壁。


進む場所がなくなってしまった。


ここからどうすればいい?


私は途方に暮れてしまう。



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