第5章92話:ミノタウロス

洞窟内部を進んでいく。


スキル【フレアライト】のおかげで、洞窟内部はとても明るい。


岩肌は少し茶色をしており、生き物の気配はない。


空気はひんやりとしていた。


靴の裏から、固い地面の感触が伝わってくる。


「……」


無言で進む。


最初の2分ほどはずっと直線通路だった。


やがて、視界が開ける。


そこは広間だった。


広間に入室した瞬間、フレアライトが隅々までを照らしてくれる。


本当に便利なスキルである。


「ここは……」


正面に橋がある。


人工の橋ではなく、天然の石橋だ。


石橋の横は崖になっており、崖下がどうなっているかは、暗くて見えない。


(うーん……あそこから落ちたら死ぬね。たぶん)


と私は推測する。


ちなみに、広間には石橋以外に、魔物の姿はなかった。


石橋を渡った先には、先に進むための通路がある。


とりあえずあそこに向かって、石橋を渡るしかなさそうだ。


(いこうか)


私はひとつ深呼吸をしてから、歩き始めた。


石橋を渡り始める。


幅は7メートルぐらいある石橋だ。


普通に歩いていれば、足を踏み外すことはないはずである。


私はゆっくりと歩いていく。


……。


……。


……そうして。


何事もなく石橋の8割を渡り終えた。


向こう岸はすぐそこである。


私はこの調子で何事もなく渡り終えられそうだ……


と思った、そのときだった。


「!!」


向こう岸にある通路。


そこから、いくつもの人影があらわれる。


いや、人ではない。


あれは……ミノタウロスだ!


2メートルぐらいの体格があるミノタウロスの群れ。


大きな片手斧かたておのを持ったミノタウロスたちが、通路の先から、こちらに向かってやってくる。



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