第4章84話:カニ

月日が流れる。


秋が過ぎて。


冬がおとずれた。


雪がしんしんと降る。


ある日。


昼。


晴れ。


私は家を出た。


そのまま海のほうへ歩いていく。


砂浜に辿り着いた。


砂浜の小さな砂に、雪の白が混じっている。


――――私は、夏にはよく、海を訪れる。


しかし、冬に訪れたことは、まだ一度も無い。


だから訪れてみようと思ったのだ。


季節ごとに、島はいろいろな表情を見せる。


もしかしたら冬の砂浜にも、何か発見があるかもしれない。


「……」


しばらく、砂浜を歩いてみる。


すると。


「お?」


砂浜のうえになにやら見慣れない生物を発見する。


ヤドカリっぽく見えるが……それにしては、かなりデカイ。


近づいてみる。


「お、おおお!?」


この生物は……


カニだ!


赤い体表に、黒色の模様が描かれている。


見たことがないカニだ。


とりあえず鑑定してみる。




◆◆◆


【バットウガニ】

冬に現れるカニの魔物。

カニの味がする。

可食。


◆◆◆




魔物なのか。


確かに、よくよく見てみると……


カニのツメに鋭利な刃が伸びている。


さながらジャマダハルのように。


サイズはタラバガニぐらいのものだけど、あの刃で攻撃されたらイヤだな。


(でも、カニの味がする魔物か)


いやー。


絶対美味しいよね。


これは捕まえるしかないでしょ。


私はゴーレムソードを取り出した。


そして……


ゆっくり近づき……


「ふっ!!」


ゴーレムソードを突き刺す。


バットウガニの甲羅を突き破って、剣が刺さった。


「お……倒せた?」


剣を引き抜く。


バットウガニは、動かなくなっていた。


倒せたようだ。


意外に弱いな。


とりあえずバットウガニの死体をアイテムボックスに放り込む。


(こんなに楽勝でカニがゲットできるなんて、ここは天国かな?)


と、私は思った。


魔物は、いくらでもリポップする。


せっかくなので、たくさんバットウガニを狩っていくことにした。



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