第3章

第3章53話:新しい領域へ

――――――第3章





翌日。


朝。


晴れ。


私は、家を出て、探索をはじめた。


島の奥へと入り、新しいフィールドを開拓するためである。


カガリ湖、


ラビトン草原、


ウルフ岩場、


……と、歩いていく。


すると。


ウルフ岩場を抜けたところに、森があらわれる。


鬱蒼とした森……ではない。


非常に高さのある樹木。


いわゆるブナの木のような高木こうぼくが立ち並ぶ、森林。


はるか30メートル高度の天井を覆うように、枝葉が伸びている。


その天の葉たちの隙間から木漏れ日が射しこみ、湿った土のうえを照らしている。


「素敵な森だ……」


と、私は思った。


景色が良い。


空気が良い。


森と土の香りで満ちている。


深呼吸をすると、酸素で満たされた清新な空気が、身体の中を浄化していく。


森林浴がしたくなる。


穏やかな気分で、適当にぶらぶらと歩く。


「ん……」


3分ほど歩くと。


魔物を発見した。


――――草の姿をしたオバケだ。


丸っこいつぼみ


その蕾の下から、ギザギザの葉がたくさん生えている。


葉の形だけなら、タンポポの葉のようである。


その葉を足のように動かして、地面を動いているのだ。


鑑定魔法を使ってみる。




◆◆◆


【ツボミナツハ】

草の魔物。

シソのような味がする。

可食。


◆◆◆




ほうほう。


ツボミナツハという名前なのか。


覚えておこう。


問題は強さのほうだが……


攻撃を仕掛けてみるしかない。


眼前にいるツボミナツハは、どうやらこちらに気づいていない。


チャンスだ。


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