第2章47話:音楽プレイヤー2

おしらせ:

本作は続きが思いつかずに、一時的に非公開にしておりましたが、

最終話まで執筆が完了しましたので、ふたたび公開することにいたしました。

長らくお待たせしてしまって申し訳ありません。

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私はこの音楽プレイヤーに入れたデータを、さらに活用することにした。


BGMとしての利用である。


自室でくつろいでいるとき。


リビングで食事を食べているとき。


お風呂に入っているとき。


バックグラウンドミュージックが流れていれば、より優雅ゆうがにそれらを楽しむことができるだろう。


BGMを作るには専用のサウンドスピーカーがあればよい。


というわけで、スピーカーをクラフトする。


……出来た。


筒状つつじょうのサウンドスピーカーである。


このスピーカーに音楽データを入れるか、音楽プレイヤーを接続することで、BGMを流すことができる。


とりあえず自室とリビングとお風呂に配置したいので、スピーカーを3つ生産することにした。


お風呂のスピーカーだけは防水仕様にしておく。


それぞれのスピーカーに、音楽プレイヤーからデータをコピーしておく。







その日の夜。


お風呂。


さっそくスピーカーを使って、浴場にBGMを流すことにした。


「おお、いい感じ」


スピーカーの音が、ゆったりとお風呂に浸透していく。


めちゃくちゃ優雅だ。


さて。


ワインとチーズを持ってくる。


シャワーで身体を流してから、湯舟に浸かる。


はぁ……気持ちいい。


スピーカーからは心地よいBGMが流れている。


ゆったりとしたクラシックのバックグラウンドミュージック。


いやあ。


最高だね。


「ふふ。どんどん島暮らしが快適になっていくね」


そう一人でつぶやきながら、ワインをあおる。


甘くて苦いワインの味わいがほろりと口に広がる。


チーズを食べる。


旨味が口いっぱいに広がる。


またワインを飲む。


スピーカーの音色に耳を傾ける。


流れてくるピアノの旋律せんりつ


ふと窓の外を見上げた。


美しい二つの月が地上にあおい光を落とし、いくつもの星たちが、燦然さんぜんと輝いている。


……言葉に尽くせないほどの至福しふくだった。


穏やかな時。


まったりした時間。


風趣ふうしゅに満ちたひととき。


副交感神経ふくこうかんしんけいが高くなり、大きなリラックスかんを得られる。


自然と呼吸が深くなる。


心がどんどん落ち着いていく。


頭の中は、リラックスと幸福感によって、きらきらと冴え渡っている。


まるで脳がとろけるかのように、陶酔感とうすいかんが満ちていた。


もう一度ワインを飲む。


ああ、美味しい。


微量の甘味があるのが飲みやすくていいね、このワイン。


ぐいぐい飲んじゃう。


「はぁ……」


30分ほど経つ。


ワインは空だ。


チーズも食べきった。


さて……そろそろ上がろうか。


私はスピーカーを切って、お風呂をあとにした。



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