第2章45話:海


ビーチチェアに寝転びながら、ふと思う。


私は、この島にやってきて、そろそろ2ヶ月だ。


5月にやってきて。


現在は、7月。


さすがに2ヶ月も住んでいると、島での生活にも完全に慣れていた。


慣れると、本当に快適である。


心の底からリラックスできるし、


島の暮らしを満喫できる。


たまにルリアさんたちがやってくるから、孤独に打ちのめされることもない。


しがらみなどはない。


仕事もない。


強いていうなら魔物狩りが仕事だが、あんなのは大した作業ではないし、レベリングは楽しい。


いつ休んだっていいんだから、気楽なものだ。


はぁ~……


ずっと、この暮らしが続けばいいな。


そんなことをぼんやりと思う。





「おっと、ジュースがなくなっちゃったか……」


気づけば、パイナップルジュースが空になっていた。


新しく補充する。


そして、ちょっと海で遊ぶことにした。


浅瀬に入る。


ひんやりと気持ちいい海水に、足首が濡れる。


足で軽く海を蹴って、水とたわむれる。


跳ねた水が、陽光に照らされて、灼熱のようにきらきらと輝いていた。


海の匂い。


潮の匂い。


お日様の匂い。


砂の匂い。


そういったものが、鼻腔をくすぐる。


ちょっと深いところにいけば、魚もいるが、まあ、あまり砂浜から離れるつもりはない。


あくまで浅瀬で、遊ぶ。


そうしてしばらくしてから砂浜に上がると、小さなヤドカリが歩いているのが見えた。


可愛いヤドカリだ。


私はしゃがんで、つんつんと殻をつついてみる。


「ふふ。和むなー」


自然と微笑みが漏れた。


そうして、特別なことをするわけでもなく、まったりと時間を過ごす。


またビーチチェアの上に戻って、寝転び、ジュースを飲む。


数時間後。


私は、パラソルやチェアを片付けた。


いっぱい満喫したな。


夏はまだまだ長い。


せいぜい、楽しませてもらうとしよう。

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