第2章40話:岩場



滝をあとにした私たちは森を歩き続ける。


約3分後。


私たちは岩場へと辿り着いた。


足元が地面となり、むきだしの地層や崖がそそり立つ。


大きな石や岩石が転がっている。


草木は、存在しないわけではないが、かなり減った感がある。


視界に緑が占める割合は、2割程度だろう。


「ついたわよ」


「ここに新しい魔物が……」


と。


噂をすれば、そこにオオカミ型の魔物が通りかかった。


こちらには気づいておらず、横向きに歩いている。


あれがウルフだろう。


「戦っていいですか?」


「ええ。どうぞ」


私はウォーターアローで不意打ちを食らわす。


それはウルフの側面を横殴りにし、ダメージを与えた。


ウルフはよろめくが、倒れない。


こちらの存在に気づき、牙をむきだしにしてくる。


(ホーンラビットならこれで一撃なんだけどな……さすがに強いみたいだね)


もう一発、ウォーターアローを放つ。


避けられる。


しかし次に放った一撃はヒットした。


これでウルフは力尽き、倒れた。


「よし、勝てました!」


「お見事。死体を回収しておきなさい」


「はい!」


私はウルフの死体をアイテムボックスへと収納した。


「今みたいな場面は、初手でいきなり魔法を撃つのもいいけれど、罠を仕掛けてから撃つのもアリよ」


「あー……なるほど。そういう戦い方もあるんですね」


「ええ。上手く敵が罠にはまってくれれば、それだけで有利に立てるからね」


「ちなみにウルフには毒罠って通用するんですか?」


「通用するわ。ただ、毒罠だけだと殺しきる前に毒が解けちゃうから、ホーンラビットみたく、罠だけで狩りまくったりはできないわよ。もしウルフを倒すなら【強毒罠】が必要だけど、毒耐性スキルを持ってないと自分が食らったとき大変なことになるわね」


ふむ……。


つまり強毒罠を仕掛けるなら、罠の位置をきちんと把握して、自分が踏まないようにしないといけないわけか。


危険だね。


「わかりました。罠ナシで、上手く倒せる方法を考えてみます」


「そのほうがいいわね」


話がひと段落したので、岩場を進み始める。


途中でルグイノシシを発見した。


高さ1.5メートルほどの大型のイノシシであった。


それを魔法を使って仕留める。


やはりウォーターアロー二発は必要だった。


と、ここでレベルがアップした。


ステータスを確認すると、レベル13になっていた。


(経験値……かなり美味しいね)


ホーンラビット30匹ぶんぐらいの経験値が、一挙に獲得できる感じ。


ウルフとルグイノシシは、かなり豊富な経験値を有しているようだ。


積極的に狩っていきたいところである。


「まあ、岩場はこんな感じよ。あとは、自分で狩りの方法を確立することね」


「はい。わかりました」


今日は、いったん家に戻ることにした。




ちなみに、その日、ホーンラビットの唐揚げをルリアさんに振舞ってあげた。


彼女はそれを絶賛し、満足げにたいらげて、精霊界へと帰っていくのだった。

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