第2章38話:実戦


草原にたどりつく。


ホーンラビットたちが、今日も元気にぴょんぴょんと草原を跳ね回っていた。


お、あそこに毒罠にかかったとおぼしきホーンラビットが倒れていた。


あっちにもいる。


今日も大量にかかったようだ。


「……本当に、あちこちに罠を仕掛けたのね」


ルリアさんは呆れたように笑っていた。


「まあいいわ。じゃあ、剣を出して、適当に近くにいるホーンラビットに斬りかかってみなさい」


「……いいんですか?」


「ええ」


ルリアさんがうなずく。


私は、アイテムボックスから剣を出して右手で握る。


一番近くにいたホーンラビットに近づいた。


そして。


「ふっ!」


斬りかかる。


それがホーンラビットを切り裂いた。


血が飛ぶ。


ホーンラビットを絶命させたと理解する。


おお……


意外とあっさり倒せたね。


「どう? 楽勝でしょ?」


「はい。ちょっと拍子抜けしたぐらいです。こんな簡単に魔物って倒せるんですね」


「レベル12で、ショートソード持ちだからね。その状態でホーンラビットに斬りかかったら、余裕でオーバーキルよ」


そうなのか。


しかしこれなら、せっせと罠を作る必要もないのではないか?


「次は、あえて攻撃を食らってみなさい」


「え?」


「まずホーンラビットを軽く蹴っ飛ばすのよ。そうしたら向こうは怒って攻撃してくるから、それを避けずに受ける」


「よ、避けずに受ける? どうしてそんなこと」


「いいからやってみなさい」


言われたので、仕方なくやってみることにする。


まず近くにいたホーンラビットを足の先で小突く。


するとホーンラビットが怒りの声をあげて突っ込んできた!!


当然だ!


そりゃ怒るよね!?


ホーンラビットがツノを向けて突進してくる。


その鋭利なツノが私の太ももに突き刺さ……らない?


あれ? 刺さらないよ?


太ももの肉が少しツノに押されるぐらいで、肉を突き破られる感じはしない。


「わかったかしら?」


ルリアさんが尋ねてきた。


「えっと……これはどういうことです?」


「あなたのレベルが高くて、ホーンラビットの攻撃が通らなくなってるのよ。たぶんダメージは0なんじゃないかしら」


……まじか。


じゃあ、何万回攻撃を食らってもノーダメってこと?


ステータスを確認してみる。


たしかにHPが減っていない。


「レ、レベルが上がるってすごいですね。ダメージすら通らなくなるんですか」


「まあ、部位によっては食らったりするわよ。ホーンラビットのツノが急所に当たると、今のあなたにもそれなりにダメージが入ると思うわ」


「なるほど……」


急所は防御力が低い、ということか。


とりあえず、このホーンラビットは倒しておく。


殺したホーンラビットは、すぐさまアイテムボックスに放り込む。


ルリアさんが言った。


「今のあなたなら、打撃もそれなりに強いから、徒手空拳でもホーンラビットを倒せるでしょうね。今度やってみるといいわ」


「はい。そうしてみます」


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