第2章37話:ショートソード



朝食を食べるルリアさん。


その際、この二週間のことについて経過報告をする。


私が習得したスキルについても話した。


それからコーヒーを飲み終わると、私たちはふたたび玄関前の庭に出る。


ルリアさんが言った。


「今日はあなたに2つのことを教えにきたの」


「2つのこと?」


「ええ。まず1つ目は、戦闘について」


「戦闘の仕方を教えてもらえるんですか?」


「ええ。まあ、レベル12もあれば、弱い魔物なら難なく狩れるでしょうし」


私はワクワクした。


ここまで、まだ魔物とは一度も戦ったことがない。


いよいよ異世界ファンタジーらしくなってきたんじゃなかろうか。


「2つ目は、ホーンラビット以外の魔物について」


おお……。


ついにホーンラビット以外の魔物を狩れるようになるのか。


さすがに数百匹も狩って、ホーンラビットには飽きてきたところだ。


「まず最初に、1つ目から教えましょう。といっても、あなたは剣術スキルを手に入れたようだから、あとは武器を製作するだけね」


「剣の振り方とかは教えてもらえないんでしょうか?」


「剣術スキルがあれば、頭と身体が、勝手に戦い方を教えてくれるわ。スキルレベルが上がってくれば、どんどんこなれてくるし」


「なるほど」


「で、武器についてだけど……使う得物は、ショートソードでいいでしょう。レベル12で扱える最高の武器ね」


「槍とかのほうが有利じゃないんですか? リーチ長いですし」


「剣術スキルなんだから、槍は使えないわよ。槍の場合は、槍術スキルを手に入れてないと、ロクに扱えないわ」


なるほど、言われてみればそうか。


「あとはまあ、槍は小回りが利きにくいから、槍術スキルがあっても初心者には扱いが難しいわね。遠くから攻撃したいなら無難に魔法を使うといいわよ」


私には水魔法と風魔法がある。


風魔法はどちらかといえば防御型だが、水魔法は攻撃として使える。


水のアローを発生させたり、水球を投げつけることでダメージを与える形だ。


「じゃあショートソードの必要素材を教えるわ」


ルリアさんが必要素材を伝授してくれる。


私はそれにのっとってクラフトを行い、ショートソードを手に入れた。


軽く二、三度ふってみる。


木剣で素振りをしていたためか、あるいは剣術スキルのアシストのおかげか……


すごく手に馴染むような感じがした。


「思ったより軽いし、扱いやすそうですね」


「軽いんじゃなくて、レベルが上がってるから、純粋にあなたの腕力が上がってるのよ。レベル1のときに持ってたら、ロクに振れなかったわよ」


「そうなんですか」


レベリングの甲斐があったということだ。


私は満足げに微笑む。


「ちなみにレベル15、かつ、剣術レベル3になれば、毒属性の武器である【毒剣ネイリス】と、ショートソードより攻撃力の高い【ダレンソード】が扱えるようになるわ。その二つについても作り方を教えておくわね」


ルリアさんが必要素材を教えてくれる。


私はそれを紙にメモした。


ダレンソードについては作れそうなので、もう作っておくことにした。


パパッと製作し、ダレンソードを握ってみたが……なるほど、確かに重くて扱えそうにない。


必要レベルが足りないとこんなふうになるのか。


「さて、準備は整ったわね。それじゃあ、とりあえずホーンラビットを狩りにいきましょうか」


「はい。わかりました」


私たちは歩き出す。

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