第2章36話:ルリア、再訪



そして数日が経つ。


レベル12になったころ、ルリアさんが再度、家を訪れてきた。


「来たわよ」


「いらっしゃい、ルリアさん。半月ぶりですね」


「ええ。元気してたかしら?」


「はい。それなりには」


玄関前で立ち話をする。


「ホーンラビットの狩りは順調かしら?」


「はい。ルリアさんに教わった通りにやって、300匹ほど狩れました」


「……え?」


「おかげでレベルは12に上がって、いろいろスキルも覚えたんです」


そう言うと、ルリアさんが驚いていた。


「ちょっと待って。もうレベル12まで上がったの?」


「ん? はい、そうですけど……」


「異常な成長速度ね。いったい何をしたの? まさかホーンラビット以外も狩り始めたとか?」


「いえ。普通に罠を仕掛けまくっただけですよ」


「仕掛けまくった? それはどれぐらい?」


「今はあの草原に1日300個ぐらいは仕掛けてますかね。それでかかるのは50匹ぐらいですが」


「……」


ルリアさんが口をあんぐりと開けた。


そして呆れたように言った。


「あなた……なかなかめちゃくちゃなことをするわね。ホーンラビットを絶滅させる気かしら」


「えっと、リポップするから絶滅はしないんじゃ……?」


「それはそうだけど、だからって普通、300個も罠を仕掛けないでしょう?」


「早くレベルを上げたくて……もっと島の奥とかにも行ってみたかったですから」


「なるほどね。まあ、あくまでホーンラビットを狩りまくるぶんには、危険はないからいいけどね。それにしても300個って、ふふふ、あはは」


「ちょっ……なんで笑うんですかっ」


「いやだって、さすがに300個も仕掛けるのはひどいでしょう。ふふふふ、あははははは」


なんだかルリアさんがツボに入ってしまったようだ。


そ、そんなにおかしいことをしただろうか、私は。


……。


……。


……うん、まあ。


確かに、草原に300個も罠を仕掛けるのは、常軌を逸してるかも?


思い返してみれば、私、とんでもないことをしてたかもね。


明日からちょっと量を減らそうか……?


でも、レベル上がると楽しいんだよなぁ……。


「まあ、とりあえず、中でゆっくり経過報告でも聞きましょうか」


「あ、はい。朝食、食べますか?」


「もちろんいただきたいわ」


「わかりました。じゃあ作りますね」


ルリアさんを家の中へと迎え入れる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る