第2章29話:肉をゲット




毒罠を仕掛けたポイントに戻る。


水溜りの地点には何もかかっていなかった。


池のほうに向かう。


池にたどり着くと、そこに一匹のホーンラビットが倒れていた。


「わぁ……ほんとに罠にかかってる」


近づいてみる。


ホーンラビットは確かに死亡しているようだ。


「これ……食べられるんですよね?」


「ええ。言ったように、毒は時間とともに抜けるから」


ルリアさんが答える。


私はそのときふと、疑問に思ったことを口にする。


「そういえば、罠にかかって死んだ状態だと、だんだん腐敗していきますよね? 死体の回収が遅れると、やっぱり腐っちゃったりしますかね?」


「通常の獣の場合はそうだけど、魔物の場合は、魔力が腐敗を防ぐから、夏場でも3日は新鮮な状態が保たれるわよ。今の時期なら4日は持つわね」


「そうなんですか!」


「ええ。だから毎日、罠にかかったかどうか確認するようにルーティン化してしまえば、腐敗した肉を回収してしまうことはないでしょう。一度アイテムボックスに入れてしまえば、時間停止の効果で、腐敗も止められるしね」


なるほど……。


じゃあ毎日、朝か昼に確認するようにしようかな。


ついでにそのとき、罠を補充したりするのもアリだね。


「さ、とりあえずホーンラビットを回収しなさい」


「あ、はい」


私はホーンラビットをアイテムボックスに放り込む。


ルリアさんは言った。


「これで、あなたは肉が自由に取れるし、罠を通して敵を倒し、経験値を得られるようになったわ」


「はい! 自力で肉を取れるようになったのは嬉しいです。それに罠を仕掛けるというやり方なら、ホーンラビット以外も狩れそうですね!」


「……まあ、最初は比較的安全なホーンラビットで経験値を稼ぐことをオススメするけどね」


もちろん、そのつもりだ。


私自身、無理をするつもりはない。


次に死んだら、また転生できるとは限らないからね。


ルリアさんが言った。


「あとは、魔物肉の解体ができれば完璧ね」


「あ……そういえば、解体しなきゃダメなんですね」


「ええ」


「クラフトスキルで解体処理を省略できないですかね」


「さすがに無理ね。でも、解体もスキルで行うのよ」


「え、そうなんですか」


「そう。この石を使えば、解体スキルが手に入るわ。使って、習得しなさい」


ルリアさんがスキル石を手渡してくる。


「至れり尽くせりで、なんだか申し訳ないです」


「気にしなくていいわ。まあ、あたしも見返りをもらうからね」


「もちろん、食事は丹精込めて作らせていただきます!」


言いながら、私は解体のスキル石を使用した。


解体スキルが手に入る。


ステータスオープンからスキル画面を確認すると、確かに【解体Lv1】が習得されている。


「解体スキルレベルをあげていけば、一瞬で解体を行えるようになるわよ。さながらあなたが、一瞬でクラフトを行っているようにね」


「……逆にいえば、レベルが低いうちは解体に時間がかかると?」


「まあ、それは仕方がないでしょう。地道にレベルをあげていくことね」


ふむ。


頑張るしかないか。


「それじゃあ、解体について教えてあげるわ。一度しか言わないからよく聞くのよ?」


「お願いします!」


こうして、私はホーンラビットの解体方法についてレクチャーを受けるのだった。

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