第2章:魔物

第2章27話:罠


さて、モーニングを済ませたあと。


私たちは家を出る。


森を進み、いつもの湖にやってくる。


「魔物は、この湖のさらに奥にいるわ。そこに草原があるのよ」


「なるほど……」


「ついてきて。こっちの方角よ」


ルリアさんが湖を迂回して、前方に広がる森に入っていく。


やや鬱蒼とした森である。


10分ほど歩くと、森の終わりが見えてきた。


木々の合間から、森の向こうをのぞく。


そこに草原が広がっていた。


ところどころに樹木、岩石などがあり、魔物とおぼしき獣が点在している。


その魔物は、見た目から察するに――――


「ウサギ、ですか?」


「そう。ホーンラビットといって、鶏肉みたいな味で美味しいのよ」


ツノの生えたウサギの魔物。


それが今回の標的だとルリアさんが告げる。


「あいつは弱いから普通に戦ってもいいけど、罠を使ったほうが効率的よ。じゃあ、踏んだら毒をかける罠を開発してみましょうか」


ルリアさんが毒罠について教えてくれる。


その指示にしたがって、私は毒罠をクラフトした。


見た目は小石のような扁平の物体。


触った感触はゴムみたいな感じ。


この毒罠は、誰かに踏まれると、煙玉のように毒霧が噴出するという。


ホーンラビットはこの毒を寛解する前に致死するので、毒にかかれば確実に仕留めることができるという。


ただ……。


「あの……毒にまみれた魔物肉なんて食べて、大丈夫なんですか?」


毒罠で仕留めるということは、魔物肉が毒に浸食されるということではないのか?


そう心配したが、ルリアさんが首を横に振った。


「いま作ってもらった罠の毒は、相手を殺したら勝手に抜けていく毒だから大丈夫よ。あと、人間には無毒だし」


「そうなんですか。なら安心ですね」


じゃあ、後は仕掛けるだけだ。


ルリアさんがレクチャーしてくれる。


「罠ってのは魔物の行動を予想して仕掛けるの」


「魔物の行動……」


「魔物だって動物と似通っている部分は多いわ。たとえば食べ物を摂るし、水も飲む。つまり―――――」


「食物や、水飲み場の近くに罠を設置すればいいってことですか?」


「そういうことね」


ルリアさんが肯定し、一拍置いてから、言う。


「罠であれ、魔物を倒せば経験値が入ってレベルが上がる。レベルが上がれば、ステータスも上がるから、いずれ罠に頼らなくても魔物を狩れるようになるわよ」


「すごく楽しみです!」


「そうね。じゃあ、実際に罠を張ってみましょうか」


「はい!」


私は毒罠を仕掛けるため、適切な場所を探し始めた。

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