第1章11話:お礼


「半月後……じゃあそれまで肉はお預けですか?」


さすがに半月間、肉ナシはきつい。


「今回だけ特別に、数日ぶんの食材をプレゼントしてあげる。その食材が尽きるまでに、この湖の魚を獲れるようになるといいわ。ちなみにこの湖の魚は、森で採れたイモがエサになるわよ」


あ、なるほど。


肉はなくても魚が獲れたら代わりになる……か。


(魚は、罠か釣り道具をクラフトで作れば獲れそうだものね)


私は納得した。


そしてルリアさんがその場に大量の食材を置いた。


それはあまりに膨大すぎる量だった。


山積みになっていて、見上げなければならないほど。


しかも肉、野菜、果物など多種多様である。


いや、というか、これだけあれば何でも作れるよ!?


「あの……こんなに貰っていいんですか?」


「今回だけ特別って言ったでしょ。次回からは何もあげないわよ?」


「そうですか。うーん……」


とはいっても、貰いすぎだよね。


ただでさえ、無人島での暮らし方をレクチャーしてもらってるのに。


ここまでしてもらって、何のお返しもしないなんて不義理というものではないだろうか。


あ……そうだ!


「ルリアさん。良かったら家で食事をしていきませんか?」


「え?」


「私、お礼に料理を作りますよ。よかったら食べていってください」


すると、ルリアさんが難色を示した。


そして、きっぱりと拒否してくる。


「遠慮しておくわ。人間の料理なんて、まずくて食べられたものじゃないもの」


「……え!? ど、どういうことですか?」


「実は過去に、精霊への供物として、人間から何度か供え物を貰ったことがあるんだけど……最悪の味だったの。固めた土みたいな食感で」


……いったい何を供えられたんだろう?


ともかく、私はそんな、固めた土みたいなものを料理として出すつもりはない。


「んー……一度だけ食べてみませんか? こちらの世界の料理はお口に合わなかったかもしれませんが、地球料理なら好きになれるかもしれませんし」


「う、うーん……それはそうかもしれないけど」


「私、ルリアさんにいろいろしてもらったので、お礼がしたいんです。もし、私の作った料理の見た目や匂いで無理だと思ったら、食べずに帰っていただいても構いませんので」


そう言うと、ルリアさんは肩をすくめて笑った。


「そう。まあ、お礼だというなら貰ってあげなくもないわね。じゃあ、ご相伴にあずかろうかしら」


「よかったです。じゃあ、家に戻りますか」


私はルリアさんがくれた食材たちをアイテムボックスに放り込んだ。


そうして二人で、帰路につく。


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