第1章9話:島の湖



森の中を歩き続ける。


その過程で、野草、野生のイモ、木の実、キノコなどを次々と採取していった。


可食判定ができる鑑定魔法のおかげで、無難に食糧を集められる。


超便利スキルである。


……やがて、森を抜けると湖に辿り着いた。


「わあ……」


半径100メートルぐらいの、そこそこ大きな湖だ。


周囲を木々と山に囲まれている。


なんて穏やかな風景なのだろう。


一目でこの場所を好きになった。


「すごい綺麗ですね」


湖に近づいてみる。


水面は澄んでいた。


浅瀬は本当に綺麗で、水底の砂利が透かして見通せる。


10センチぐらいの小さな魚から、


30~50センチぐらいの大きな魚まで、さまざまな種類が泳いでいた。


「ここで水を確保するといいわ」


「水を?」


「ええ。淡水をそのまま使うのはよくないけど、【滅菌魔法】を使えば、清潔な水として運用できるから」


なるほど。


ここで滅菌魔法が出てくるのか。


要は、水の蒸留や煮沸、消毒などを行ってくれる魔法ということなのだろう。


「水に手をつけて、アイテムボックスに収納していく方法がカンタンね。滅菌魔法は、収納したあとで使えばいいから」


「やってみます」


私は言われた通りに、まずは湖水に手を浸す。


そうして「収納」と唱えて、水をアイテムボックスに収納した。


見た目には変化がない。


しかし、アイテムボックスを開いてみると、たしかに水アイテムが入っていた。


アイテムボックスの説明は以下だ。


◆◆◆


【水(湖水)】

湖から採取できた水。


◆◆◆


ふむふむ。


なるほどね。


で……ここで滅菌魔法を使えばいいのか。


アイテムボックスの中のアイテムにも、滅菌魔法って使えるのかな?


まあ、やってみるか。


(滅菌!)


アイテムボックスの中にある【水(湖水)】に対して働きかけるイメージで、滅菌魔法を唱えてみる。


すると、以下のように変化した。


◆◆◆


【綺麗な水】

清潔な水。


◆◆◆


おお、すごい。


清潔な水に変わった……!


魔法とかスキルって、本当に便利だなぁ。


「これで無人島での水問題はおおむね解決ね」


「教えていただいてありがとうございます!」


いや、ほんとにルリアさん様様だよ。


無人島での快適な暮らしも夢じゃなくなってきた。


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