第1章8話:塩と砂糖



森を歩くあいだ、私は鑑定魔法を使っていろいろなものを調べまくっていた。


そこで、気になることがあった。


「あの、ルリアさん」


「なにかしら?」


「さっきから塩草、砂糖草というのがそこらじゅうに生えているんですが……」


森の中の雑草を鑑定していると、塩草・砂糖草というのがたくさん出てくる。


あまりに頻度が多いので、その草の形を覚えてしまったほどだ。


気になるのは、鑑定ウインドウに出てくる説明だ。


◆◆◆


【塩草】

ゆでれば食塩水が手に入る


【砂糖草】

ゆでれば砂糖水が手に入る


◆◆◆


「塩とか砂糖って、もしかして草から採れたりするんですか?」


「ええ、そうよ。当たり前じゃない?」


「ええぇ……」


驚いてしまう。


「何よその反応。あなたの元いた世界では違ったのかしら?」


ルリアさんは私が転生者であることも知っているようだ。


私はうなずいた。


「違いましたね。塩は岩塩鉱とか塩湖などから。砂糖はサトウキビから採取するのが普通でした」


「ふーん。変わった採取方法なのね」


「ちなみに塩草、砂糖草は、この島だけに群生しているとかではないんですよね?」


「違うわね。この世界ではどこでも……それこそ雑草のごとく生えてるわ」


なるほど。


地球と異世界では、かなり常識が異なるらしい。


ただ、それだけ塩草や砂糖草が生えているということは……。


(塩と砂糖は実質、取り放題ってことかな)


それは本当にありがたい。


料理において、塩と砂糖はどんなものにでも使うからね。


味付けや調味料は、もう確保したも同然だ。



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