第1章5話:精霊の来客




ちりん、ちりん。


再度、鈴が鳴る。


「はーい!」


とりあえず、私は玄関に向かった。


玄関を開けると……


そこに、一人の女性が立っていた。


青い長髪と緑の瞳を持った不思議な女性である。


法衣のような上等な服をまとっている。


「えっと……どちら様でしょうか?」


「あたしはルリア。精霊よ」


「精霊……」


人間ではなかった。


まあ、人間の姿をしているけど。


「あなたの生活をサポートしにきたのよ。あなた、女神にこの無人島を与えられたそうね?」


「はい。そのことをご存知なんですか」


「ええ。精霊というのは、女神の手下みたいな存在だからね。あなたのことも女神から聞いたわ」


なるほど。


ルリアさんは、おそらくあの女神様の関係者なのだろう。


とりあえず、無人島に隠れていた不審者ということではなさそうだ。


「で……無人島で暮らすといっても、いろいろわからないこともあるでしょ? たとえば食糧の取り方とか」


「あー……確かにわからないですね」


「それをあたしがレクチャーしてあげるということよ。じゃないとあなた、この島で生きられなくて死んでしまうわよ」


「う……」


確かに私は、無人島での暮らしを甘く見ていたかもしれない。


それを教えてもらえるというのなら、ありがたい話だ。


「ただし、精霊も暇じゃないから、あたしが無人島に来られるのは毎月2日間だけね」


「2日間だけ……」


ということは1ヶ月のうち28日間は、誰のサポートもなしで生きていかなければいけないと。


「そうよ。だからサクサク説明していかないとね。……とりあえず今日、日が沈むまでに水と食糧の集め方について教えてあげるわ」


「それは絶対知りたいです。お願いします」


私は頭を下げた。


ルリアさんは言った。


「じゃあ、まずは森に入りましょう。ついてきなさい」


ルリアさんが森に向かって歩いていく。


私はそのあとに続いた。

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