第1章3話:島の中へ



人の手が加えられていないだろう島の雑木林。


見晴らしのいい森の中を、私は歩いていく。


野鳥の声が聞こえる。


獣の気配がする。


踏みしめる地面は少しひんやりとしている。


空からは陽光が木々の隙間を通して降り注いでいた。


穏やかな森だ。


島での生活が確立できたら、いずれ森林浴でもしてみたいな。


「お……」


しばらく歩くと、開けた場所に出た。


森の一角を切り取った円形の広場。


その中央に、何かが置かれている。


なんだろう?


近づいて確認してみると、それは資材だった。


木材や石材。


主に建材のようである。


資材の間に、羊皮紙が挟まっている。


そこにはこう書かれていた。


――――クラフトスキルを使って、家を作ってみてください。


――――スキルの使い方について。


――――スキル名を念じれば、スキルを使用することができます。女神より。


女神さまの伝言だ。


至れり尽くせりだね。


でも家なんて創れるのかな?


まあ、女神さまがやってみろと言ってるのだから、言われた通りしてみるか。


じゃあ、さっそく。


(クラフト!)


住みたい家をイメージしながら、頭の中で唱えた。


すると。


目の前の資材が光に包まれ。


ほんの数秒も経たないうちに、立派な家が出来上がっていた。


「ふおおおおおお!? すごい!」


二階建ての、赤い屋根の家。


それが目の前に立っている。


びっくりして腰を抜かすかと思った。


でも、本当にすごいや。


これがスキルか。


なお、資材がいくらか余っていたので、アイテムボックスに収納しておくことにした。


「それじゃ、さっそく中へ……」


私は家の中に入っていく。


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