第26話終結クラス活動
「次に、女子達の案だけど……正直に言って他の学年やクラスからも出やすいモノだと思う。実際昨年の年次予定表によると、老人ホームや特別支援学校・学級、ホスピタル施設への慰安や慰問何かは、学校としての活動の中にあるから実際伝手はあると思うけどやる事が被ってしまうんだ。だからコレを主に据える場合サブの案も必要になると思う……」
「つまり……1か2の案に抱き合わせられるカタチであれば、この3番目の福祉案を通せるって訳ね」
「その通り、1案との抱き合わせの場合施設へのアポややることの企画・準備なんかは3案の支持者で行ってもらう……この点は1や2の案が通った時も、言いだしっぺに動いて貰うこの点は変わらない。今思いつく限りで他の案への意見なんかはある?」
「今の所ないわね……」
そう言いながら賛同者達へ目くばせを行う。
・福祉系
・老人ホームやホスピタル施設への訪問
・動物愛護団体のお手伝い
・小学校とか保育園への訪問
☆他と被りそう。(学校規模では被っている)企業や団体あってのものなので、断られた時用のサブプランが必要。
例えば1や2、特に2を主として3を副案にすればやることは増えるが3の案を活かすことが出来る。
三つの円を描いて貰ったのは、『最小派』『福祉派』『最大派』の互いは共に重なり合う主張があり、『福祉派』と『意見のない相』を取り込むことが出来た意見が通る。だから明確に示すために絵図にした。
「さて大まかに1~3のアイディアが出そろって、俺が疑問に思うところや弱点になると思った所をつついた訳だが……他に意見のある奴はいるか? いないのなら投票で『最小派』『最大派』『福祉派』に投票を行って貰う。尚、『妥協』が行われなかった場合には、少数意見の尊重……つまり負けた意見を取り入れるかどうかは、その意見は投票で表明したものに決めて貰う」
「「「「「「――!?」」」」」」
主に『最小派』のメンバーが驚きの表情を浮かべる。
「民主主義の否定だ!」
「民主主義の破壊だ!」
――――と語気を強める。
君達は国会議員か? 活動家か?
だから黒板にチョークで書かれた文字の色まで赤いんだよ。
滲み出んだよ思想とか人格とか色々と……
「民主主義において少数意見の尊重とは、その意見を聞いた上で判断するものであって、少数意見を必ず採用しなければいけないモノではありません。従って過半数とは言いませんが、多数票を取った考えの元でその政策をよりよくするために、議論を交わしましょう。とそう言っているんです」
「あ、付け加えると議論というのは欠席・退席したり野次を飛ばしたり、論点をすり替えたり妨害することではありませんよ? もしお分かりにならないのなら、入学前に購入された電子辞書でお調べになるといいですよ。辞書がないなら貸してもらうか帰ってから調べて下さい」
――――と付け加える。
「さて、投票に映ります。独り一票投票してください。配布されたプリントに『名前』と『最小派』なら小と『最大派』なら大と『福祉派』なら福と一文字書いて下さい」
投票が終わり開票作業に入る。
「結果は、『最大派』の意見が得票率一位で僅差で『福祉派』、最下位が『最小派』となります」
開票結果を開示すると、最下位の『最小派』から文句が出る。
「『最大派』『福祉派』共に歩み寄っているが、『最小派』はコレなら受け入れてやる。という傲慢な姿勢で投票に臨んだのが敗因だ。本気で『最小原の労力で最大の成果』が欲しかったのなら、他の二派閥に “全員” で味方すれば良かったんだよ」
「だったら、教えてくれれば良かったじゃないか!?」
「善意見に妥協点を聞き出しているし、質問があるか聞いているんだからその段階で派閥を拡大すれば良かった。それに学級委員という立場なんだから、出来るだけ公平中立でいようとしただけだよ。責められるのは筋違いかな……」
少年の顔からニヤニヤ笑いが消え、俺を睨み付ける。
気にするほどではない。
「……と言う事で、『表彰されるぐらいデカイこと(物理的に残るモノだとなおのこと良し)』と言う目標を軸に、それを叶える方法決めて行きたいと思います。先ず『観光案内やパンフレット作製』これは、観光案内を出している観光課とか、街の商店街にアポを取る必要がある」
「つまり電話するか、直接会って貰う必要があるって訳だな」
「その通り、学生だけで行くのも冷やかしと思われ兼ねません……向こうの方と会う場合は先生に引率をお願いできませんか?」
「はい、分かりました。ただし、アポイントメントは自分達で取って下さいね? これも社会勉強の一環ですから」
「俺が提案した『道路標識や、ミラー、街灯、横断歩道の設置』に付いてだが……」
記憶を探ってその方法を思い出す。
「ん? どうした? 歯切れが悪いな?」
「すまんが、コレは直ぐに結果が出ないし設置できると確約も出来ない」
相手を説得する際には、直ぐにバレる嘘や不安を見せてはいけないが、調べれば直ぐに分かる程度のことには本当のことを言った方がいい。と判断したからだ。
「ただでさえ予算を渋るお役所から、予算を捥ぎ取る必要があるものだ。オマケに提案するのはただの学生……「はい。そうですか」の一言で受け入れてもらえる訳はないわな……」
俺の言葉に
「これは他者を巻き込む
「そうだな……男は度胸! 何といっても俺達は高校生、出来ない理由を見つけてやらないよりは、何でも試してみるものさ!」
「……と言う訳で『物理的』に残って『社会から感謝される』案は、コレぐらいだと思う……前期・後期通年で『最大』と『福祉』案を通すコレが最良の選択だと俺は思う。もちろんクラスで相談の上幾つかの施設へ、ボランティアへ行くのは全然ありだと思う。」
「「「「「「――!?」」」」」」
「観光案内でも道路に何かを設置するにも、多くの人の要望であることを示すデータが必要だ。老人ホーム、小学校、病院なんかにアンケート用紙を置いて貰って、それを集計して意見を伝える。こうすれば公安委員会も説得しやすいんじゃないかな?」
「これが俺が提案する二つの案を合体したアイディアです」
「
「最高だぜ。説得材料を調達する次いでに女子達のアイディアも生かせる! まさに一石二鳥だな。だが、アイディアを合体させる前提となるとパンフレットや観光案内よりは、
「そう……だなすまんが折れてくれるか?」
俺の言葉に西郷達は「しかたないな」「いいぜ」と承諾の言葉を次々と口にしてくれる。
「……」
あれ、女子の名前ってなんだっけ?
「
――――と
スペンセルってスペンサーのスペイン語系だったよな?
この辺に棲んでるハーフだとロシアとかフィリピン、英語圏の人は珍しくないのにスペイン語系と言うだけで少しだけ物珍しく感じる。
「か、
――――と恐る恐る訪ねる。
明るい髪色をしたギャル。程度の認識しかしていなかったが、もしかして明るい髪色もメイクしていると思った顔も、素に近いのかもしれない。
「問題ないどころか、逆にここまで私達の意見を反映してくれて嬉しく思うわ」
「なら申し訳ないけど俺達二人と
「俺は問題ないぜ」
「私も別に構わないわ」
――――と
「ではこれで一学期にクラスで行うボランティア活動についての話し合いを終わります」
俺は付かれた笑みを浮かべながら終了の言葉を口にした。
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