第59話「観光とお風呂」

 僕たちは鬼怒川温泉駅から少し移動して、鬼怒川温泉ロープウェイにやって来た。

 このロープウェイに乗って、丸山山頂まで行く。ロープウェイの中からは、周辺の景色が一望出来てとてもいいものだった。


「おおー、めっちゃ遠くまで見えるねー!」

「ああ、なんか空中にいる感じがするっつーか、いい景色だね」


 みんなテンションが上がっていた。もちろん僕もそうだ。

 ロープウェイが山頂に着く。山頂には『おさるの山』という、お猿さんがいる広場みたいなところがあった。


「おお、お猿さんがたくさんいるではないか!」

「ほんとですね、なんだか自然あふれる感じです!」


 お猿さんにエサやりができるということで、僕もエサを買ってみた。ひょいひょいとお猿さんが持って行って、美味しそうに食べている。


「ああっ、この子にあげたいのに、隣から強奪された! くそー負けないぞー!」

「は、橋爪さん落ち着いて……でも、みんな美味しそうに食べてるね」


 橋爪さんと天野くんも楽しそうにしていた。


「ダンキチ、monkeyはにほんごでなんていう?」

「ああ、『猿』だね、お猿さんみんな楽しそうだね」

「ふむ、さる、おぼえた。さるみんなかわいい」


 エレノアさんもお猿さんにエサをあげていて、笑顔になっていた。僕はその様子を写真に収めた。うん、エレノアさんとお猿さんがいい感じに映っている。

 その後、おさるの山の先にあった展望台で周辺を眺めていた。


「おおー、ここもいい景色だねー! 写真撮っておこう!」

「ああ、素晴らしいね! 今日もいい天気になってよかったよ」

「ふふふ、でも暑いですからね、みなさん水分補給は忘れないようにしましょう」


 慶太先輩と成瀬先輩の言う通り、今日もいい天気で暑くなっていた。僕はペットボトルのお茶を飲む。みんなもこまめに水分を補給している。暑さでやられて倒れたら大変だもんな。

 展望台からの景色を楽しんだ僕たちは、またロープウェイに乗って戻ることにした。一旦鬼怒川温泉駅まで戻る。時間は夕方くらいになろうとしていた。


「これからホテルに戻ってもいいけど、どうしようか? 今日はこの後あまり遠くへは行けないと思うけど」

「あ、亜香里先輩、夜みなさんで呑むお酒や、おつまみなどを買ってホテルに戻りませんか?」

「ああ、そうだね、そうしよっか! ふふふ、夜も楽しまないといけないからねー!」


 駅の近くのコンビニで、お酒やおつまみを買う僕たちだった……って、お、お酒の量が多いような気がするのは気のせいだろうか。まぁ、僕と拓海とエレノアさんも呑めるようになったから、それもありなのかなと思った。


「よーし、ホテルに戻ろうかー! のんびりして温泉入って、夕飯って感じでちょうどいいんじゃないかなー」


 川倉先輩を先頭にして、僕たちはホテルへと戻る。普通の街並みであっても、写真を撮ると楽しいだろうと思って、僕はシャッターを切った。


「おっ、団吉は色々写真撮ってるみたいだな」

「うん、色々な景色を撮っておこうと思ってね」

「さすが日車先輩! 写真研究会のポリシーは忘れていませんね! 私もスマホで撮っておこーっと!」

「ぽ、ポリシー……なのかな、ま、まぁいいか。帰ってからみんなの写真を見るのも楽しみだよ」


 ホテルに戻った僕たちは、男性陣、女性陣に分かれて部屋でのんびりとしていた。


「あ、お風呂のご案内がここにあるね! ふむふむ、内湯と露天風呂とあって、なかなかよさそうではないか!」

「おお、ほんとですね、なんかゆっくり入れそうな気がします」


 慶太先輩と天野くんがパンフレットを見ながら言った。


「あ、ほんとだ、なかなか広そうっつーか」

「ほんとだね、夕飯前にお風呂に入るのもありかもしれないね」

「ああ、準備して行ってみることにしようか! ゆっくりと日頃の疲れをとろうではないか!」


 僕たち男性陣はお風呂に入る準備をして、大浴場へと行った。僕たちの他にもお風呂を楽しむ人が何人かいるようだ。


「この時間はここの大浴場が男性用になっているんだな、なんか二つあったよな」

「そうだね、間違えたら大変なことになりそうだけど……」

「ふむ、団吉くんが女性のお風呂に飛び込んで、キャーキャー言われる姿をボクは想像してしまったよ! いけないね」

「あ、僕も同じこと想像しました。でも日車先輩ならなんか受け入れられそうな気もしますね」

「ええ!? い、いや、さすがにまずいと思うんですが……」


 な、なんか恥ずかしくなって俯くと、みんな笑っていた。

 き、気を取り直して、大浴場に入る。大理石や御影石を使用しているらしい内湯は、広くて気持ちがよかった。


「うおー、気持ちいいー! 日頃の疲れがとれるっつーか」

「ほんとだね、あ、あっちに露天風呂があるんだね」

「ああ、後で行ってみようではないか! それにしても気持ちいいね、気分も上がるよ!」

「ほんとに、気持ちいいですね! なんかいつまでも入っていられそうです」


 男四人で盛り上がる僕たちだった。

 露天風呂の方にも行ってみる。こちらは庭園の彩りがあって開放感あふれる感じで、外の空気に触れる意味でも違った気持ちよさがあった。


「ああー、マジで気持ちいいな、たまにはこういう贅沢もいいもんだなー」

「うん、たまに入るからいいんだろうね。広いお風呂というのもいつもと違ってテンションが上がるというか」

「団吉くんの言う通りだね! 広いお風呂というのはいいものだね! 女性陣も今頃楽しんでいる頃だろうか」

「夕飯前にお風呂に入るって言ってたから、そうかもしれませんね。いやー気持ちいいです! 疲れがとれますねー」


 大満足のお風呂にゆっくりと入って、僕たちは日頃の疲れを癒していた……って、のぼせてしまうといけないので、ほどほどにしておかないと。また朝風呂なんかもいいのではないかなと思う僕だった。

 のぼせる前に上がって、僕たちは部屋でのんびりとしていた。もうすぐ夕飯だ。何が出てくるのだろうかと、そちらも楽しみにしていた。

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