第十一話 Ace エナの実力
《ウッズ視点》
『ワォオオオオオオンッ!』
「覚悟してよね。私今、すごく機嫌が悪いんだから」
俺達の前に立ったエナは、不機嫌そうに鼻を鳴らして剣を空振りした。
ひゅぱっと、空気を裂く音が鳴る。
それから、低い声でぼそりと呟いた。
「スキル《
ボッと音を立てて、エナの持つ
魔法スキル《
火炎を武器や防具に付与することのできる、火炎魔法。
エナは、この《
「火傷程度じゃ済まないかもしれないけど……許してね」
言うが早いか、エナは地面を蹴って駆けだした。
そんな彼女を迎え撃つように、
「はっ!」
掛け声と共に、エナは空中へ飛び上がった。
首をもたげる
両手の剣をX字に構え、真っ逆さまに落下する。
「
重力の加速を上乗せして、真っ赤に燃える斬撃を繰り出した。
すれ違い様、赤い十字の斬撃が
『ギャオォオオンッ!』
断末魔を上げ、
「完了」
クラスBのモンスターを文字通り瞬殺したエナは、とくに誇る様子もなく事務的に言い放った。
ああいうすかしたところが、心底気にくわない。
周りの連中も「流石エナさんだ!」「痺れるぜ!」などと騒ぎ立てている。
アイツらもアイツらだ。《緑青の剣》のリーダーは俺だ。惚れる相手を間違えてんじゃねぇよ。
刀身に付いた火の粉を払い、剣をおさめたエナは、俺の方を振り返った。
「言いつけどおり、敵は倒したよ。でも……話して貰うからね。エランくんを
彼女がそう言い放った瞬間、再度どよめきの波がメンバーに波及する。
「そうなの? リーダー?」
リシアが、不安げな顔で俺の方に近寄ってきた。
「ああ、そうだよ」
答えた瞬間、メンバー達の表情が一層曇った。
何をそんなに驚く必要があるのか?
あのとき俺は、最善の選択をしたんだ。
そうだ、俺は悪くない。
俺は、エナの求める答えを淡々と語り出した。
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