パブロが同居!一番可愛いのは…

パブロの魔法ショーを見て、全員が興奮して、次から次にリクエストして、魔法を見せてもらった。

「あの…、信じてはもらえました?」

信じる!と、全員一致で、そう答えた後、絵理達はさらに魔法のリクエストをした。

(面倒くさい家族に当たったなぁ…)

パブロは笑顔ではあったが、心の中ではため息をついていた。


「で、」

パブロは話を戻した。

「魔法の世界からこっちにワープさせれられて。でも、自分じゃ帰れなくて…」

「あー、じゃね、帰れるまで、泊まって行きなよ」

博之がパブロの出した、浮かぶサッカーボールで、遊びながら言った。

「え…いいの…?」

「うん、いいよ〜」

博之の軽い返事で、谷川家にパブロが居候する事になった。


谷川家はこのようなメンバーである。

長男 谷川博之 (22) 新聞記者

長女 谷川和美 (20) 事務員

次女 谷川絵理 (14) 中2

次男 谷川孝司 (5)  年中

(谷川家の両親は2年前事故で亡くなっている)

そこに パブロ グリーン (16)が加わる事になった。


パブロは面倒くさい家族…と言っていたが、実際は、あっと言う間に、家族に溶け込んだ。

パブロは、祖父としか暮らしてなかったから気づかなかったが、年の近い家族と暮らすのは、居心地が良かった。


ただ、博之と和美と孝司には、優しくできるのに、なぜか絵理には、突っかかってしまっていた。

それは、嫌いという感情ではなく、絵理には何の気兼ねもなく喋れてしまうからだ。

そうすると元々の性格の意地悪さが出てしまった。

パブロは絵理に、素直に言いたい事を言えて楽だと思っていたし、絵理は気軽に嫌な事を言ってくるパブロに対して、普段は見せない反発心がストレートに出ていた。

傍から見て仲がいいとは思われないが、本人達は意外と本音を話せるいい間柄だと言えるのかもしれない。


そして、パブロが一番大切に思っている家族は、弟の孝司(5歳)だった。


とある日の朝。

「絵理ー」

パブロが呼ぶ。

「んー?」

「孝司の帽子ってどこ?」

「あー、こっちにある!」

絵理は走って玄関までとどける。

「ありがとう。じゃ、孝司幼稚園いこ」

「うん!」

「行ってらっしゃい」

「行ってきます!」

パブロは毎日、孝司を幼稚園まで送っていた。


「パブロ兄ちゃん」

「ん?」

「あのね、今日家族の顔かくの」

「あぁ。幼稚園でお絵かきするんだ」

「そうなの」

「孝司、絵上手だもんね」

「ヘヘッ。パブロ兄ちゃんかいていい?」

「おー、いいの?絵理達に混ぜてくれるの?」

「ううん。パブロ兄ちゃんだけかくの」

「俺だけ?」

パブロは笑った。

「だめ?」

「いいよ。ありがとう」


パブロは懐いてくれる孝司が可愛かった。

(兄弟ってこんな感じなのかな…)


魔法界では、いつもやんちゃをしてたパブロだったが、孝司といると嬉しくて優しい気持ちになった。

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