心を読むなっ
絵理とは年が近い事もあって、他の家族との関係性とは良くも悪くも違った。
「絵理ー。今度さぁ、この辺案内してよー」
「うん…」
「何?やなの…?」
「もうすぐテストだからさ、今度でいい?」「テスト?勉強でもするの?」
「…するでしょ。しないの?」
「あんましたことない」
「勉強しなくてもできるタイプ?」
「勉強しないから、できないタイプ」
(ダメ人間…)
「誰がダメ人間だっ」
「…最初会った時もそうだったけどさ…」
「ん?」
「心読めるの…?」
「……」
「やだぁ。近づかないでー」
絵理は恥ずかしくて逃げた。
「や、基本聞こえないはずなんだけど…。まだコントロールが…」
「やだ…。近づきたくない…」
「何で?」
「…こういう事は読めないの…?」
「あ、悪口しか聞こえないのかも」
パブロは笑った。
(全然役に立たないじゃん)
「聞こえてます」
パブロはいじわるそうに笑った。
絵理は、また怖くなって逃げた。
谷川家では、パブロがどこまで心を読めるのか実験した。
結果、ほとんど分からないみたいで、何故か絵理の悪口だけ聞けるようだった。
「なんでぇ…?」
絵理は、嫌そうに言った。
「何でだろ?ま、別にいいんじゃない?」
パブロはヘラヘラ笑って言った。
「心の中でも悪口言えないの?」
「ん?ならさ、思わないで吐き出せば?どうせだだ漏れなんだし」
「…ヘラヘラ笑ってんなよ」
「…」
「ほら!吐き出したら吐き出したで引くでしょ!」
「そう?」
パブロは絵理の泣きそうな顔を見て、ニヤニヤした。
「ま、コントロールすれば、誰の声も聞こえないんだけどね」
(え?!)
「自己催眠ですぐコントロールできるの」
(ムカつく〜!)
「聞こえてるよ」
絵理は、パブロを睨んだ。
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