第5話 奇跡
翌日
妹が目覚めたと病院から電話がきた。
そんなバカな。
だって未来は脳死で二度と目覚めることはないって
言ってたのに。
医師も「奇跡だ」と驚いていた。
僕が助けてあげる。
スーくんの言葉が蘇る。
まさかスーくんが願いを叶えてくれた?
ううん、そんなわけない。
でも、良かった。
良かった。
また、未来と話せる。笑いあえる。
病室に家族と勢いよく駆け込むと
未来が上体を起こして本を読んでいた。
未来は本から目を離すと驚きの表情を浮かべた。
「あっれー?みんな慌ててどうしたの?」
いつもの様子にホッとする。
「どうしたの?じゃないわよ!
心配したんだからね!」
「あぁ未来っ。良かった 本当に良かった。」
お母さんが泣きじゃくり、お父さんも目の端に涙を浮かべている。
「未来、ごめんね。わたしを庇ったせいで
こんなことになって。本当にごめんね」
もう二度と同じ過ちは繰り返さない。
あんな悲劇は起こしたくない。
未来が脳死と診断されてとても辛かった。
罪悪感でいっぱいだった。
ごめんね、未来。
未来は微笑みわたしの頬に手を伸ばした。
「もうっお姉ちゃん、泣かないで?
自分を責めちゃダメだよ。お姉ちゃんは悪くないよ
飛び出してきたあのトラックが悪いんだから。
刑務所で少しは反省してほしいよね」
あたたかいものを未来が拭ってはじめて
自分が泣いていることに気が付いた。
「笑ってよ、お姉ちゃん」
未来がにっこり笑った。
「うん!」
わたしは泣き笑いを浮かべた。
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