第4話 白い少年

「諦めるの?」


少年の声に顔を上げる。

真っ白な髪に青い瞳。

赤いマフラー。

外国人?

中学生くらいだろうか。

まだ顔に幼さが残っている。


「あなたは誰?」


「僕は……スー。君を助けにきた」


私を助けに?


「助けにきたってどういうこと?」


不思議に思って聞くとスーくんは微笑んだ。

それから真面目な顔つきになって

「君の妹は一週間前、事故にあって脳死の状態

になっているんだよね?」


からかいにきたのか。

そう思うとはらわたが煮え繰り返った。


「からかいに来たんなら帰って!!

妹はわたしのせいでっ!!」


悲しみが怒りを追い越して行く。

泣きそうだ。

そのとき、ふわりと抱きしめられた。


「大丈夫、僕が助けてあげる。君の妹は必ず助かる」


どうしてわかるのよ!

簡単にそんなこと言わないでよ!


そう言おうとしたのに

出てきたのは涙で。


「本当に?」


「あぁ。僕が必ず助けてあげるよ、六花と未来を」


どうしてわたしたちの名前を知ってるんだろう。


でも

ただ、今はその温もりに包まれていたかった。

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