魔法
「門番は土で出来たゴーレムよ」
「土?」
俺は先ほど自動販売機さんからもらったナイフを見てみる。
「ナイフって土切れるの?」
「スコップなら圧勝だったわね…」
………。
(いやいや、落ち着け…。こんな最初から理不尽な事があってたまるか。何か手があるはずだ。考えろ)
「なあ、ほとんどの異人は下へ降りて行ったんだろ?」
「うん」
「じゃあ、ルフは戦い方とか知っているんじゃないのか?」
「ギクッ…。そ、そういうのは自分で考えないと!」
(なるほど、何か方法があるのか。つまり弱点があるんじゃないか?)
俺は再び自動販売機さんのパネルを触れ魔法の項目を見る。
項目内に水魔法というのを見つけ、魔法の設定をした。
「これか!土に水を浸して泥にしてやれば無力出来るんじゃないか?」
(もらったな…!)
ちょっと魔法の練習をしてみる!
俺は右腕を誰もいない所へと向け先ほど感じた魔力を掌に集め何かを飛ばすイメージを込めてみた。
すると、水弾と呼べるものが飛び出していった。
「おおお!?」
思ったより威力が強くて驚いた。
ルフも目を見開いて驚いている。
「て、天才何では!?そんな才能を見せてくるとは驚きだわ」
俺は嬉しくなって破顔している。
「そ、そうかな!?もうちょっと練習してみる!見てて!」
「もっとかっこいい所見せてね!」
俺は調子乗って壁に向かって水弾を撃ちまくった。
ルフは笑顔で俺の練習を見ててくれているようだ。
(セイは揶揄うと面白いなぁ。すぐ乗ってくれる)
そして十分練習をして行けると判断し、ルフがいる方向へ体を向けた。
「じゃあ、早速だけど行ってくることにするよ。最後にプラさん達と挨拶をしたいだが、どこにいけばいい?」
ルフは何も言わずに少し上の方を指をさした。
俺は指の示した方向を見てみると、プラさん達が手を振っていてるようだ。遠くから見守っていてくれたようだ。
俺はそのままお辞儀をして感謝の気持ちを込めた。
(有難うございました。俺は下へと行きます)
「ルフそれじゃあ、門番の場所まで案内してくれ」
「はいはい!」
それから5分程歩いた所に門番がいる扉があった。
ルフは扉を指さし説明をしてくれた。
「この扉を開いたら門番との戦闘だよ。そして戦闘が終わるまで扉は開かないよ」
「わかった。じゃあ行ってくる!世話になったな!」
「ええ。頑張ってね!」
俺は覚悟を決めて扉を開け、一歩前に出た。部屋の中心に2.5~3m前後の大きさの土で出来たゴーレムを確認できた。
背後では扉がゆっくりと閉まるのを感じ、カチリと鍵が掛かる音がした。
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