選択

 ルフと共に機械の元へと向かっている。


 道中先ほどの話で気になった事がいくつかあったので、一番最初に気になった魔法とは何か質問してみた。


「なあ、俺の知っている価値観では魔法なんてものはなかったんだが…。それって何が出来るんだ?」


 ルフは俺の言葉を聞いてクスクスと笑っている。

「異人はみんな同じ事を言うのね。異人マニュアルに同じ事書いてあったわ!」


「マニュアル?そんな物まであるのか?」


「2~3年に1回異人が来るから私達が代々引き継いで来たマニュアルがあるのよ。そうそう、それで魔法とは何か?だけど簡単に言えば体内の魔力を外へ放出する方法の事を指すわ」


 俺は話を聞いてもまったくわからなかった。


「詳しくは機械に行けばわかるらしいのよ」


「そうなのか?所で地上には何があるんだ?窓からは地平線しか見えなかったんだが?」


「私達も知らないわ。ただ言い伝えでは楽園があるとかないとか?」


「楽園?なんだそれ?」


「さあ?とりあえず、あれに聞いてみたらどう?案内予定の機械よ」


 ルフが指さした物を見てみると、俺の中ではどう見ても少し大きい自動販売機にしか見えなかった。

「さっきあったのと少し違うな…」


「さっきのは水と食料だけ。これは異人専用の機械かな?私達が触っても反応しないのよね。それで使い方って程の事じゃないんだけど、中央の右側にあるパネルに触れると色々分かるらしいよ?」


 色々分かる?よく分からないが言われた事をやってみようと思った。

「なるほど、早速触ってみるよ」


 自動販売機みたいな物の中央のパネルに手を当ててみると、何かしらのデータを読み込んでいるのか青い光が点滅している。そして自身の目の前にパネルのような透明な液晶と女性が出て来た。


(なんだこれは?)


 混乱しているとルフが少し説明をしてくれた。

「透明なパネルと女の異人さんが見えるでしょ?それ私達には見えないの。異人だけ見える物らしいから、しっかりと話を聞いた方がいいよ」


 俺は納得して目の前いる女性を見てみると、何やら喋っている。


「こちらの文章をお読みください」


 ※重要


 今貴方には選択肢が二つある。


 ここで生涯を過ごすか、地上を目指して階段を降りるか、どちらかを選んでいだだきます。


 もしここで過ごすならば、生涯階層の移動はできずに、死ぬまでここで生きていてもらいます。


 もし階段を降りて大地を目指すならば天恵を授ける事を約束します。


 制限時間は5分とさせて頂きます。


 「どちらかを押してください」


「ここに残る」 「地上を目指す」


 5:00


 パネルの横にいる女性は軽くお辞儀をした後に言葉を続けた。

「それでは文章を読んだと確認したので、カウントを進めさせて頂きます」


(ちょっとまて、何のこっちゃ?とりあず何かルフに聞いてから判断してみよう)


 混乱した頭でルフに質問をしてみた。

「なあ、ルフここ生きている異人って今いるか?」


「……今はいないわ。異人は長時間ここでの生活が耐えられないみたいね。長くても5年で亡くなるのよ」


「そ、そうか」


(つまり選択肢はないな。この自動販売機は本当に味方なのかよくわからんな)


 俺は覚悟を決めて「地上を目指す」のパネルを押した。


「承諾を確認しました。それでは楽園を目指し下へ向かってください。以降はヘルプをご覧ください」


 謎の女性はそのまま消えたが、自販機触れると液晶のパネルは再び見る事が出来た。状よく見てみると、他にも何やらログのような物が見え始め左下に文字が流れている。


 俺は脅迫と言う名の自己選択を行わされ、謎の機械から恩恵を受ける事となった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る