第7話 異世界とは ※

久々に一服。

とんちんかんな状況に、

ニコチン中毒も控えめであるので

今まで吸わずに済んだ。

残り18本。


この世界に煙草はあるのか不安になる。

めちゃくちゃ貴重な喫煙タイムではないか。

しようがない。







ひとまず、一番大きな建物の

「役場っぽい所」に向かう。

窓から暖かな灯りが見え、少しだけ安心感をくれる。



某ファミリーレストランのメニュー表を

大きくした様な扉を、少しだけ開け

覗く。





賑やかなビアホールではないか。



戦士・魔術師etc…

各円卓にランプ。それぞれ座り、

グラスをかち合わせ

顔を赤くしている人もいる。

アルコールがあるのが(多分)確定した。


酒を飲みたくなってきた。

ステージに

アコースティクギターの様な物もある。

良いではないか。





正面奥。

カウンターがあり、グラスや小さい樽などが並び、

思わず唾を飲み込んだ。


受付嬢らしき女性がいる。

漫画やアニメで見た事がある。

いわゆるギルドっぽい所の様だ。

よく見れば、壁側に掲示板もある。

依頼がどうのこうのするあれだろうか。


いくつかの「異世界もの」でギルドを見たが、

説明がくどくて、飽きるものが多かった。

故、一話で見るのをやめたり、

一巻で読むのをやめたりしていた。

その点、いざ自分が異世界に来たら言語が分からないと来た。

よし、ならばここにいる必要は無い。


野宿先を探そう。



扉を閉め、後ろを向く。



ばちん



と、後ろにいた鎧を着た男を

跳ね飛ばしてしまった。




あ、久しく忘れていたこの現象。

と、同時にやっちまった感。



数メートル吹き飛んだ男は

即座に立ち上がり、

腰に付けた剣を僕に向けた。


明らかに殺意を向けられている。

非常に大きい叫び声は

殺意の意味を帯びている。


野次馬が集まり、

殺し合いか喧嘩のムードしかなかった。


何が起きた?

跳ね飛ばした?

僕の異世界特典は無敵属性ではないか?

喧嘩もした事も無いのに勝てるか?

武器は無いのか?

前回の事もある。

これは逃げられない。

成す術がない。

死にたくない。

めんどくさい。

一瞬で頭を過ぎて行く。




叫び声と共に、

鎧男がいよいよ走ってくる。





そばにあった

ほうきを咄嗟とっさに手に取り

構えた。


を剣に見立て、

負けじと相手に振りかぶる。




バチュッ






次の瞬間、僕は隣家の壁に

激しく打ち付け、バウンドしていた。


鎧男の後ろにいた野次馬が

そこら辺に伸びている。





酷く周りが静かだ。

いや、さっきまで煽っていた

野次馬が鎧男を見たまま、固まり引いている。



後ろを向く






鎧男の口から上が無くなっていた。

衝撃の方向に向かい、血しぶきが舞う。


浴びている僕は茫然とそれを見る。





隣家の壁には

頭半分とみられる肉塊が

木の棒と共に

クレーターと共に

へばり付いていた。

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