第6話 それでは

日本でいう古民家らしき

おねいさんの自宅に通され、ご飯を頂いた。


和式に丸テーブル。

明らかに地球文明と同じ形のスプーン。

皿には、白米を添えたガーリックシュリンプ。



思わず、向かいに座る花澤さんにアイコンタクトしてしまう。

何か言いたげな彼女は、まぁまぁ食べましょ。

と、表情と視線で訴えていた。


ガーリックシュリンプは

ハワイ料理と聞いた事がある。


殻ごと頂ける程、柔らかく弾力のあるエビ(と変わらない姿の何か)

バターの味わいと香ばしいガーリックが絡まり、

とても美味しい。


白米も日本と変わらず、THEお米である。

噛む程甘みが出るあの米だ。



何日かぶりに頂く食料は、

天にも昇る程の美味しさだった。






異世界語が出来ない故、

異世界人と意思疎通が難しい。


いや、元から僕はコミュ障だった。

なら、異世界も元の世界も同じではないか。


ジェスチャーやアイコンタクトで

おねいさんと対話する。


花澤さんみたいに泊めてもらえないだろうか。


4、5回やり取りをし、

なんとなく伝わった雰囲気があった。

頭の上に!マークを出した顔をした

おねいさんは外へ出て行く。



「異世界なのにおかしいですよね・・・

元いた世界の料理とほぼほぼ、変わらないんです」


2人になったと同時に彼女が喋りだした。


「おじいちゃん家みたいだし、この間はナシゴレンを頂きました・・・

池松さんはどう思います?」



「・・・何k」


発声すると同時におねいさんが帰って来た。


浅黒い肌。見事に引き締まった身体。

体育会系の男性を連れて。






ジェスチャーゲーム(雑なコミニュケーション)の末、恐らく解読。


どうやら夫婦お二人で暮らしているらしい。

男女の区別がこの世界にもあるようで

(という言い方も変だが)

僕はどうやら花澤さんの様に

居候出来ないみたいだ。


旦那様も”ごめんね”といった雰囲気。



大丈夫ですよ~とジェスチャーしつつ、

この先どうしたらええねんと絶望した。




玄関先へ向かう時、

ボソッと花澤さんが

おねいさん達にバレ無い様に声を出す。


「池松さん、また陽が昇ったらお話しませんか?

あの役場みたいな所で待ち合わせましょう」


「了解しました。それではまた明日」





集落に到着したのも夕刻だったらしく、

辺りは暗くなっている。


無論街灯もなく、

ちらほら原始的な灯があるくらいだ。


とりあえず

おねいさん家に別れを告げ、

野宿先を探すとしよう。


心配そうなお三方に見送られて。



にしても、花澤さんが異世界人がいる時に、

僕と話さず異世界人とコミュニケーションを取ろうとするのは生存本能だろうか。

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