第50話 騎士団の訓練に参加①
待って、これどう持つのが正解?
俺いつもナイフだから
オロオロしていると、俺の対戦相手のリアンさんが声をかけてきた。
「えっと、名前なんだっけ?」
「あ、俺はハヤテです」
俺と同じくらいの年齢かな?
とりあえず敬語で答えておく。
「っそ。ハヤテ、
そう言って、リアンさんは自分が着けていたグローブと首を守っていたガードみたいなものを外して俺に差し出した。
「え?そしたらリアンさんは?」
「リアンでいいよ。あと俺一応騎士団の団員だからこの訓練はいつも受けてるし、
「……アリガトウゴザイマス」
ちょぉぉぉっとイラっとする言い回しが気になったけど、実際言い返せないので有難く防具を借りる。
……絶対勝ってやる……!
今回の訓練は相手を倒すと言うより、武器を落とした方の勝ちと言うルールみたいだから、その剣、吹っ飛ばして勝ってやるぜ!
借りた防具を着け終わり、改めて剣を構える。
持つ構え方はよく分からなかったから昔、授業で習った剣道の構えでいいや。
「もういいか?」
リアンにそう聞かれ、俺はゴーサインを出す。
「いつでもどーぞ!」
言ってすぐ、俺は構えていた剣を振り、リアンへと向かう。
狙うは剣を持つ手首。
大きく振りかぶり剣を下ろした先でリアンはひらりと刃先を避け、俺の剣の先は地面に刺さる。
再度振りあげるのに手間取っているうちに、リアンは俺の剣を持つ手首へ振り上げた剣の柄を降ろした。
ガン!!
手首にモロに食らい、俺は剣を取り落とす。
「痛ってぇーー!!」
「はい、おしまい」
俺が落とした剣を拾い、リアンはバリー副団長の所へ剣を返しに行った。
「副団長、みんながみんな
「いや、普通はまず最初に
「「「しません」」」
俺とその場にいたロバートとリアンの声が重なる。
ヤバい、バリー副団長めちゃくちゃ脳筋だった。
「そっか、悪いなハヤテ。
「あんな重いもの、軽々と使えませんよ……」
俺は借りていたグローブと首のガードの防具を外し、リアンへ返す。
「これ、ありがと。一瞬で終わったけど……」
「あー、そしたらそれそっちの人に渡してよ」
そっち?
「ロバート?ロバートもこれ借りる?」
俺がリアンから借りた防具をロバートに渡そうとすると、ロバートは既に誰かからそれを借りていた。
「ハヤテありがとー。俺さっき既に借りてきた!」
そういえば訓練ノリノリだったな?
フル装備のロバートには必要なさそうだったので、これはリアンに返す。
「ロバート大丈夫みたい」
「みたいだな。ロバート?は、少しやりがいありそう」
うっ……その言葉は瞬殺された俺の心をえぐる……
俺の元から離れ、訓練場の方へ戻ったリアンは、準備万端なロバートと向かい合い、お互い剣を構えた。
「じゃ、始めるか」
「いつでもどーぞ!」
ちょ、ロバート!それさっきの俺のセリフ……
剣を顔の横に構えた状態からリアンの方へ駆け出し、剣を振るのではなくリアンの顔の横へ突き出す。
それをリアンは身をひねり避け、ロバートの背後へと回る。
そのまま剣を振り上げ、ロバートの背中目掛けて剣を振り下ろすと、ロバートは突き出していた剣を背中へ回し、リアンの剣を受ける。
そんな目にも止まらない速さの攻防戦が目の前でどんどん繰り広げられていた。
……へ?
ロバート、
夢中で二人の戦いに見入っていると、横からケインさんに声をかけられた。
「ハヤテは、
「あ、はい」
「やっぱりな。構え方が他の奴らと違ったから」
ケインさんは子供を見るような優しい目で俺を見る。
やめて、子供扱いはやめて……
「いや、俺、普段はナイフなんですよ!あと基本攻撃じゃなくて偵察なんで!」
その同じ偵察のロバートがめちゃくちゃ今目の前で
「あぁ、スピード重視なのか。なら攻撃は食らわないな?」
「まぁ、逃げる方が得意ですね」
「そうか」
ニッ、とイタズラっぽい笑顔を浮かべたケインさんが、こう提案した。
「なら、俺と勝負しよう」
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