第37話 森の捜索
翌朝、あまり眠れぬまま目を覚まし朝の支度をして詰所へ向かう。
「おはようございます」
「おう、おはよう。よく寝……れるわけないよな」
苦笑いの隊長を含む、他のみんなもあまり寝れていないようで寝不足な顔をしていた。
「とりあえず今日は
『了解!』
二手に分かれ、俺たちは各々装備の確認をし出発する。
「ハヤテ、気をつけてね!」
「おう、ロバートもな!」
今日の捜索は森の街道沿いに半分ほど進みそこから東側の辺りに
街道のやや中心に着きそこから東へ逸れた道に入る。辺りを確認しながら歩いているとふと見覚えがあることに気づいた。
「あ!」
「どうしたハヤテ、何か見つけたか?」
突然あげた俺の声にライアンが反応する。
「あ、ゴメン!
「何!?それって確か
マシュー先輩の案にみんな賛成し、俺たちは近くを捜索することにした。
「各自、警報笛は持ったな?何かあればすぐに吹くこと。いいな?」
『了解!』
ニコラスから笛を受け取り、四人バラバラの方へ
今日は、どこに罠を仕掛けたら捕獲できるか設置場所の確認のようなもので、
地図を片手にウロウロしていると、やはり見覚えのある場所に出た。
目の前には砕かれた大岩が転がっている。
……あれ、多分
すげぇ、見事に粉々……
元々は相当大きかったと思われる大岩は、砕かれて積み上げられた岩のようになっていた。
じゃあやっぱこの辺なんだ!
ならもしかして……
俺は
しかしいくら探しても見つからない。そりゃなー、三ヶ月以上経ってるからなー。
諦めて
思わず振り返ると、俺の後ろには数匹の大きな狼の姿が。
これ、多分
俺一人では逃げきれない、そう思って慌てて笛を探す。
その一瞬の隙に、
──殺られる!!
思わず腕で顔を覆い、その場に蹲った。
しかしいくら待っても来るはずの衝撃が襲ってこない。
恐る恐る目を開けてみれば、そこには……
スラリとした漆黒の鎧に身を包んだ、黒い剣を携えた一人の騎士が立っていた。
「え……?」
思わず見つめていると、その騎士は振り返る。
顔を覆うタイプの兜のため、顔は見えないが、あちらも驚いているようだ。
あ!
辺りを探してみれば
身体には何かで切られた跡と、そこから黒いモヤが出ている。
そのモヤは騎士の携えている剣へと吸い込まれていた。
「え、何?!どんな状況?!」
しばらくその様子に釘付けになっていると、だんだんとモヤは薄れていき、あとには虫の息の
モヤが消えると同時に、騎士の剣も手元から消えてなくなる。
そしてその騎士はこちらに向かって歩いてきた。
思わず身を固めていると、騎士は俺の手元を指さす。
その先には俺が握りしめて少ししわくちゃになった地図。
もしかして地図が見たい?
恐る恐るその地図を手渡すと、騎士はシワを伸ばしながらその地図を眺め始めた。
その隙に改めて騎士のつま先からてっぺんまで観察する。
見事なまでに磨きあげられた、無駄なところのない完璧なまでの造形美。
漆黒の鎧とか……正直、カッコイイ……
厨二心がくすぐられる。
強いて言うならマントとか翻して欲しい。
俺が鎧に見とれていると、騎士は地図をこちらに返してきた。
……声出さないけど喋れないのかな?
無言のまま地図を受け取り、
「ハヤテー!魔物の気配がしたけど大丈夫かー?!」
と、みんながこちらに向かってきているようだ。
その声に反応したのか、漆黒の鎧の騎士は、その鎧を装備しているとは思えないくらい軽々とバク転をし、そのまま木へ飛び移り森の奥へと消えていった。
はっや!
なんであんな鎧着てそんなに早く動けるわけ?!
見えなくなった漆黒の鎧の騎士を見送っていると、ガサガサと三人が集まる。
「うわ、
「またお得意のハヤテの凄技か?」
マシュー先輩とライアンが足元の
「これ、闇の魔力の気配がする……」
一人
「闇の魔力?」
「無属性魔法の一つだよ。なかなか使える人がいないって言ってたけど、もしかしてハヤテ使えるのか?」
「え、マジで?!ハヤテすげーじゃん!」
ニコラスが、俺が倒したと勘違いしてる!
違うから!マシュー先輩も目を輝かせないで!
俺は慌てて、今会った騎士のことを説明した。
「それ、もしかして王都で話題になってた
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