第38話 闇の騎士
「
思わずニコラスへ聞き返す。
何その厨二心全開のネーミングセンス。
でも、
そう思ってマシュー先輩とライアンを見ると二人とも首を傾げている。
あれ?
「少し前から王都の騎士団に指令が出ててさ、国宝の闇の鎧あるだろ?あれの適合者を探せって言われてたんだよ」
「国宝の鎧?それってあれか?めちゃくちゃ重いヤツ。隊長でも何人か人呼ばないと持てなかったって言う……」
「それ」
え!そんな重い鎧だったの?!
あの人めっちゃ軽々跳んでたけど!
「その適合者がどうやら騎士団に居たらしくてさ、それの対応で騎士団の人数少し割かれてたから、おれもハッサンも中々こっちに戻れなかったんだ」
「なんでまた急に適合者探し始めたんだ?」
「それは隊長クラスのトップシークレットだって。おれも気になって少し聞き込みとかしたけどぜーんぜん理由わからなかったわ」
ニコラスが、お手上げのポーズをとる。
マシュー先輩はまだその話題に食い下がりたいようで、しつこく「誰?正体誰?」と聞いていた。
「それも全く分からずじまい。誰も正体知らないから、
めちゃくちゃ恥ずかしい呼び名キター!
闇の鎧はカッコよかったけどその呼ばれ方は恥ずかしい!
鎧は着てみたいけどそう呼ばれるなら遠慮したくなるな……
あれ、適合者ってことは誰でも着れるわけじゃないのか?
「闇の鎧ってあの重さに耐えられるマッチョじゃないと着ちゃダメなのか?まぁそんなに重いなら普通のやつなら潰れそうだけど」
「重さに耐える必要はないらしいぜ。なんせ、適合者なら全く鎧の重さ感じないらしいから」
「へぇー!」
俺の問いかけにニコラスが答えてくれ、それに対してマシュー先輩が食いついている。
「オレもあの鎧持ったことあるけど全然持ち上がらねぇのな。それを軽々着こなすなんてますます正体知りたいぜ!騎士団の誰かならわかりそうなもんだけどな」
「いや、ここ最近緑珠の周辺異常が続いてたろ?それに合わせて最近募集かけたらしいんだ。だからマシューの知らない新人たちもたくさんいるぜ。まぁ
「俺も会いたかったなー、
そういえばマシュー先輩とライアン、俺の厨二病魔法気に入ってたからなー。
この話題、ロバートも好きそう。
魔物を倒した後のいつもの通り、解体して魔石を取り出すと……
「あれ?なんだこりゃ……」
出てきた魔石は、真っ黒だった。
「なんか黒い石出てきたんだけど……」
「黒?
「でもほら、これ」
ライアンへ黒い魔石を渡す。
「ホントだ、黒い魔石だ……ん?」
日に透かしてみたり色々な角度で魔石を眺めていたライアンがなにかに気づく。
「これ、魔力抜けてんな」
「え、ほんとか?ちょっとオレにも見せて」
ライアンからマシュー先輩へと渡った黒い魔石は、同じように日に透かされたり色々と確認され、マシュー先輩は魔石を俺に返した。
「うん、ライアンの言う通り魔力入ってないぜ」
「魔力が抜けることってよくあるの?」
マシュー先輩は首を振った。
「いや、魔力が減ることはあっても無くなることは無いし、魔石の色が薄くなっても黒くなることは無い」
「
「闇魔法かぁ。
話しながらも
「そしたら一旦これ詰所持ち帰るか。あと隊長にも
「案外
俺たちは周りにまだいるかもしれない
詰所へ戻ってみると、まだ隊長たちもケイレブさん達も着いていなかった。
「おれたち肉と素材置いてくるわ。ハヤテはちょっとこれ持っててくれ」
ニコラスから渡されたのは、
それを無くさないようポケットへしまおうとして、背後から肩を叩かれる。
え、何の気配もなかったんだけど?!
慌てて振り返ってみればそこには
「
叫ぼうとした途端、手の部分の鎧……ガントレットを外した素手で俺の口を覆い、詰所裏の露天風呂の方へ連れていかれる。
裏に回ると口から手を外してくれ、その手の人差し指を立て、『シーッ』とジェスチャーをする。
そのまま胸元から何かを取りだした。
「あ!」
「森で外れてたのか……もしかしてわざわざこれを届けに来てくれた……んですか?」
頷きながら、チョーカーの紐部分を持ち、こちらに手渡してくれる。
その時、欠片が
あれ?あの位置……
あの動き……なんかどこかで見たことあるような……??
しばらく後ろ姿を見送りながら思い出そうとして、諦めた。
まぁ次会った時にでも思い出すだろ。
そう思い直し、詰所の正面玄関へ向かうと、隊長たちが戻ってきていた。
「あ、ハヤテただいまー!」
「おー、ロバートおかえり!収穫あったか?」
「いやー、手分けして探したけど全然。
「こんにちは。はじめまして、ハヤテくん」
ロバートの後ろから、スラリと背の高いイケメンがひょっこりと顔を出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます