第34話 森の主
ダァン!
思ったより近くから聞こえた音にビクッとなりながら、ロバートとアイコンタクトをし、そちらの様子を伺う。
目線の先にはトリケラトプスからエリマキを取ったような、サイを大きくして鳥のような
「
ロバートが驚きの声を上げる。
あれが
「ロバート、あの少しちっさい
「あれは通常の
「ドラコ……?ドラゴン?!」
改めて
そしてその
既にヒビが入り始めていて、なんだか崖が崩れ落ちそうだ。
「なぁ、あれヤバくないか?てか
「あんな行動、俺も今まで見たことないよ」
「あの崖、崩れそうだし止めた方がよさげだけど、俺たちじゃどうにもならないよな?」
熊にすら手が出ないのに、ドラゴンなんて俺は戦力外もいいとこだ……
「俺、戻って隊長とか呼んでくる!ハヤテはここで
「なんか行動し始めたら?!」
「それでも手は出さないで!何をしたかだけ見て、報告してくれればいいから。絶対一人で手は出さないでよ?前は吹っ飛ばされた時に運良く生き残れたけど、普通は
「……わかった」
「じゃあちょっと行ってくる」
風のようにその場から消えたロバートを見送り、視線を
崖をよく見ると、穴の開き始めたヒビの向こうが空洞のようだった。もしかして、どこかに繋がってる?
頭を
俺の知ってるこの辺の洞穴はそこしかない。
……だとしたら不味くないか?!
とりあえずもっと近くに……
そっと近寄った時、近くにいた
──ドガァン!!
今までの中で一番強い衝撃音がし、ガラガラと崖が崩れ落ちる。
そこには
グオォォォォォォォン!!
大きく雄叫びをあげると、
思わず身体が動き、風を纏った最高速度で
その直後、
俺は振り落とされないよう咄嗟に
洞穴はかなりの広さで道が続いていて、その中を真っ直ぐ
時々分かれ道が出た時は、ふんふんと匂いを嗅ぎ、迷わず片方の道を選んで進んで行った。
頭上は青空が広がっており、緑珠の祠と同じような、吹き抜けの構造になっていた。
「何だ、水が飲みたかったのか……」
ただ喉が乾いてただけ、ということに安堵した途端、俺も喉が渇いてきた。
……これ、飲んで大丈夫なんだよな?
危害のなさそうな小さめの
「……うまい!」
湧き水のようなひんやりとした水は、身体に染み渡る美味さだった。
しばらく水を堪能し、そして思い出す。
「やべ!動くなって言われてたんだった!!」
ちらりと
外へ出てみると、既にロバート達はここへ来ていたようでみんなで慌てて崖崩れが起きた時の岩を掘り起こしている。
「何してんの?」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
後ろからロバートに声をかけてみれば、幽霊にあったかのような叫びを上げられた。
いや、ビビって叫びたかったのこっちですけど?!
「なんっ……」
「ハヤテー!!!」
がば!っと抱きつかれ、他のみんなも走り寄り羽交い締めにされる。
「苦しいー!」
「あ!ごめん!」
全力のおしくらまんじゅうから開放されると、ロバートに頭を引っぱたかれた。
「いてぇー!」
「もう!動くなって言ってたでしょ?!戻ってきたら崖は崩れてるしハヤテはいないし、もしかして崖崩れに巻き込まれてこの岩に埋もれてるのかと思って心配したんだからね!!」
あ、だからみんなで岩をどかしてたのか……
「わりぃ」
「無事だったなら良かったよ。てかどこに行ってたの?
「あ!そうだった!隊長!
「この奥に?崖の中にこんな洞穴があったんだな。で、これはどこに続いてるんだ?」
「はい!この洞穴はかなり奥まで続いていまして、途中分かれ道も何本かあります。その度に
「地底湖?そんなものがあったのか……」
報告を受けて隊長とライアンとジェシカは何やら相談を始める。
「この中に入っていった
「いやー、俺
「え?!」
あ、やべ。
思わずポロリと吐いた言葉にロバートの表情は邪悪な笑みに変わっていく。
「どういうことか説明をしてもらいましょうかね、ハヤテさん……」
「……ハイ」
有無を言わさぬその圧に、俺は冷や汗を流しつつ頷くしかなかったのだった。
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