第12話 上部デッキでの戦闘2
「作戦開始だ」
まずルミリアに憑依する、最初はユウちゃんを投げようと思ったが、自分のコントロールの悪さを考慮して『ウォーターボール』で包んでアルレッキーノの所まで運ぶ事にした。
「少しの間、私に仮面が近付かない様に守って下さい」
詳細を口にするとアルレッキーノに作戦が気付かれてしまう、かと言ってこれでは説明不足だったかも知れない。
「当然ですルミリアさん、私に任せて下さい!」
ルイスなら何も考えずに応じてくれると思っていた、それに続いて新右衛門、リザードマンも首を縦に振る。
「助かります、エルちゃんはこっちにおいで」
エルの守りが薄くなってしまってはいけないので、ルミリアの近くで一緒に守ってもらう。
「うん」
エルはルミリアの背中に隠れた。
左手をかざして水の玉をイメージする、それと同時にアルレッキーノに気付かれないよう、ユウちゃんの所に水滴を飛ばす。
水滴を核にユウちゃんを包みながら水の玉を作っていく、コレがなかなか難しい、離れた場所に正確なイメージを送らなければいけない。
フゥッと息を吐き、目を閉じて集中した。 気付かれないよう慎重に、慌てず少しずつユウちゃんを包んでいく。
「よし! 準備が出来ました」
かなりの集中力とエナジーを使ってしまったが二つの『ウォーターボール』が完成した。
「正面、開けてください!」
前方の仮面を排除してアルレッキーノまでの射線を通してもらう。
「飛翔せよ、聖なる蒼球『ウォーターボール』」
適当な詠唱で誇張して左手のウォーターボールを放つ、これは囮だ、これに気を取られてる内に右手でユウちゃんを包んだウォーターボールを操作して、背後からアルレッキーノを狙う。
ここまではうまく行った、正面のウォーターボールは予想通り軽くあしらわれたが、後ろには気付いていない、あとはユウちゃんが【ホルスの目】を潰してくれれば……ん?
おもむろにミコトがアルレッキーノの後ろへと移動して肩を震わせている。
「フフフ、何やら小賢しい事をしているようだねぇ、だがそれも終わりだねぇ、ここからが! 本当の!! SHOWTIMEダァァ!!!」
パチン アルレッキーノが指を鳴らすとミコトに異変が起こった。
「ガァァァァァァァァァァァァア」
ミコトの体がみるみる大きく恐ろしい化け猫の姿になり、ユウちゃんを包んでいたウォーターボールを叩き潰してしまった。
「そんな」
アルレッキーノはミコトを自分の娘と言っていた、身体を流れる魔族の血が覚醒したという事か……。
「ギャハハハ、実に良いですねぇ絶望に歪む顔、たまりませんねぇ、もっと絶望させてあげるんだねぇ」
愉悦に浸りながらまた パチン と指を鳴らす、するとミコトが貴族達に牙を剥いた。
「やめろ」「こっちに来るな」「化け物」「私だけでも助けろ」
などを口々に言いながら、這いずり回り他人を盾にしてミコトから距離を取ろうとする貴族達、ハッキリ言ってこんな奴等どうなっても良い、だがミコトの手を血で染めさせる訳にはいかない。
「オレニ、マカセロ」
リザードマンがミコトを止めに入るが、このままではアルレッキーノとの挟み撃ちにされてしまう。
新右衛門も行かせるか……駄目だルイスだけではルミリアとエルを仮面軍団から守りきれない。
「せめて【ホルスの目】を潰せていれば…」
バァン
銃声が鳴り響きアルレッキーノの背中に銃弾がめり込む。
「今度は当たったか、だが……あまり効いてはいないようだな」
クラウザーを倒したルガールが上部デッキに上がって来ていた。
「折角の楽しいSHOWを邪魔しないでほしいんだねぇ」
背中の銃弾を取り出しながら初めて不快そうな顔を見せたアルレッキーノは、影の手をルガールに伸ばす。
「貴方は、わたくし自らの手で殺してやるんだねぇ!」
「この程度で殺されてやる訳にはいかんな」
ルガールは銃で影を撃ち落とす、そんな攻防が続く中ユウちゃんの声が再び頭の中に響いた。
(アイツの【幽世の魔眼】を俺の剣で潰せ、そうすればミコトを元に戻せるかもしれない)
「ユウちゃんか? 無事だったのか?」
(
「今そっちに行く」
憑依を解き剣を受け取りに行く、そしてやって貰いたい事を念話で伝えてくれと頼んだ、これは一人で出来ない、皆の力が必要だ。
「これが最後だ、遠慮なく喰らえ」
ルガールは持っていた銃弾を全て撃ち尽くしたがアルレッキーノに届く前に減速し床に落ちていく、だがそれで良い【ホルスの目】を使う暇を与えなければ、新右衛門が自由に動ける。
「紫電一閃」
新右衛門の一振りがアルレッキーノの首を切り落とした。
「フハハハ! わたくしはこの程度の事では死なないんだねぇ」
「そんな事は予想済みだぁ!」
油断していたアルレッキーノの右眼に剣を突き立て【幽世の魔眼】を潰してやった。
アルレッキーノとミコトの【幽世の魔眼】は繋がっていたそのパスを通して魔素をミコトに流し込んで魔族化させていたんだ、これで魔素の流入は止められた、後はミコト自身が魔素を追い出す事が出来れば元に戻る筈だ。
「おのれ! よくもわたくしの
アルレッキーノの頭は身体の元の位置に戻り、右眼は別の魔眼に入れ替わっていた。
「死ねぇい!」
ドォォン
アルレッキーノの右眼が紅い閃光を放つとリフトの付近で爆発が起こった。 あそこはルミリア達がいた場所だ仮面軍団ごと吹き飛ばしやがった。
「まず三匹殺してやったんだねぇ」
「―――る……必ず守る!」
爆煙が晴れるとルイス、ルミリア、エルの無事な姿が見えてきた。
「今の爆裂を防いだというのか……ならばもっとくれてやるんだねぇ!!」
ドォォン ドォォン ドォォン
何度爆裂をくらってもルイスは一歩も退かず二人を護り続けている。
「私は攻撃が得意ではない、魔物討伐の任務に出ても人の足を引っ張るばかり、遂には通信部隊に送られ付いたあだ名が『落ちこぼれ次男』だ…だけどこの身体を盾に、好きな人ぐらい護ってみせる!」
「ならばこの船ごと全員吹き飛ばしてくれるわ」
右眼がより一層紅く強く光る。
「終わりだぁ!!」
ズゥゥン
アルレッキーノが閃光を放とうとした瞬間、上空から巨大な鳥が降りてきてアルレッキーノを踏み潰した。
「見付けたわよ、ルー兄さん!」
鳥の背中にはピンク髪の女性と
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