第2話 -メーデー、上手くいきません!
教室に入ると、もう既に私の片想い相手である
仲睦まじげに華撫とお喋りしている子たちを妬ましい羨ましいと心の中で呪詛のように唱えながら私は華撫の元へと歩を進める。
「おはよ、華撫」
「あっ、
…………はぁ。
今日もマイエンジェルが可愛いすぎて辛い。
他の子たちからも挨拶をされたから、適当に返しとく。
少なからずこの子たちは華撫に選ばれた友人なのだ。
華撫に選ばれし者たち。
何その称号、私にくれ。
とにかく、選ばれし者たちに嫌われると自然と華撫からも嫌われてしまう確率が高くなるわけで。
私は彼女らにも頭が上がらない状態なのだ。
どうか嫌わないください。なんなら私の評価を上げて、私の良いところばかりを華撫に伝えてくださいお願いします。ぐへへ
と媚びへつらうことしか今の私には出来ない。
ぐぬぬ。
恋心が弱点となっているのは自覚している。
きっと私の抱いてる感情が、友情と言う名のものならば、きっと私はこの中の誰よりも華撫の隣に相応しい存在になれていたに違いない。
けど、だけど、だ。
―――もう、好きになっちゃったんだから仕方ないじゃないか
この気持ちを自分の中でどう整理するのか。
それは人それぞれであって、もう私は一歩踏み出すと決意した。
ならば、華撫の友人にでも何にでも、媚びぐらい売りまくってやる。
だから、仕方なく。本当に仕方なく、私は彼女たちにも挨拶を返したのだ。
本当なら無視したいんだけどね!!!
私がそんな子どもみたいな張り合いを自己満足でしているうちに、また華撫は友人たちと談笑を再開している。
………本当ならばもっと、もっともっと―――
「ねぇ、華撫」
「ん〜?どうしたの?美撫海ちゃん!」
私は学校指定の手提げ鞄から綺麗に包まれたお弁当箱に手を伸ばして、、、やめた。
「や、やっぱり何でもない」
「?? そう?」
「うん。ごめんね」
私はそう言って、華撫のもとから逃げるように自分の席に向かった。
む、無理だったわ。
とてもじゃないけど、あんな周りの視線もある中で手作り弁当を渡すなんてこと、私には出来ない。
え?チキったのかって?
そうよ何か文句ある!??
ま、まぁ、別にお昼休みになってから後でこっそり渡せば良いんだし。
よゆーよ。よゆー。
私は一時限目の授業準備を始めた。
◇ ◇ ◇
お昼休みになった。
私は四限目終了を知らせるチャイムと共に急いで席を立ち、華撫に近寄る。
「ちょ、ちょっと良い?二人だけで話したいことがあるの」
私は華撫の制服の袖をちまっと掴んで、そう聞いた。
ここで断られたら本当におしまい。
お願い華撫、「いいよ」って言って。
「え?わ、わかった。み、美撫海ちゃんと二人っきり??わ、わわ、わかった」
華撫はこんな大胆な行動をしている私に驚いてるみたいだ。
実は今までもこういう袖を掴んだりとか、上目遣いとか、そういうドキッとさせる動作を度々、華撫にしてるはずなんだけど……
なによぉ。どうせこれから嫌でも私のことを意識させてやるんだからぁ。
とりあえず、華撫にも許可を貰えたことは一安心。
私は華撫の袖をギュッと握ったまま、引っ張るようにして空き教室へと向かった。
誰もいない、私と華撫だけの空間と化した空き教室にて、私たちは数十秒、互いに口も開かないでオドオドとしあう。
ど、どうして華撫までキョドってるのよ!??
これは私側のイベントなんだから、華撫が緊張することなんて何も無いでしょ!???
私は「ふぅーー!」と一度深呼吸をして、覚悟を決めた。
「あ、あのさ華撫!こ、これおべ――――」
「ちょっと待って!!!!」
「えぇ!?」
遮られた。
せっかく一気に言ってしまおうと思ってたのに、遮られてしまった。
「あ、あのさ、美撫海ちゃんの言いたいこと、私わかってるから」
「…………へ?」
「だ、だから!わ、わかってるから!!でも、それは私から言わせて欲しいの!」
な、なんのこと?
急に話についていけなくなった。
あっと言う間に置いてかれた。
「えーーーーっ、と?」
「み、みみみ、美撫海ちゃん!ずっとずっと前から、大好きでした!イチャラブえっちを前提に、私と付き合ってください!!!」
ん?
え、いや。
…………。
…………………。
え、私、今、告白された?
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