第18話 女子会
学園から帰宅した私はマーゴット様を家で待っていた。
「部活が終わったら参ります!」
部活に向かうマーゴット様は溌剌としていた。
今夜は前に助けていただいた時のお礼も兼ねて、我が家で夕食をご一緒にとお誘いしたのだ。
そして、部活が終わり、マーゴット様が我が家に到着された。
夕食の用意が整うまで、私たちはサロンでお茶を飲んで雑談でもという事になった。
しかし、私は意気込みすぎたのか、冒頭からポンコツな質問をしてしまう。
「兄の好きな食べ物ですか?」
マーゴット様は怪訝な顔をして私を見ている。
ですよね、話の流れで自然に聞けばいいのに上手く出来なくてごめんなさい。
「クッキーは大好きです。あとは何かしら、たい焼きとかも好きですよ」
「た、た、たい焼き!?」
この世界にあるの???
「あ、すみません。ランドル王国にたい焼きってないのですか?」
「そうですね、初めて聞きました」
私は平静を装う。
あくまで、私はランドル王国のことしか知らないフリをしないといけない。
墓穴を掘る前に、何か違う話題にしなければ、、、。
「そういえば、あの護衛の方はいらっしゃらなかったのですね?」
名前なんだったっけ?
「リチャードでしたら、諸用でしばらく留守なのです。それでも代わりの護衛がいるので大丈夫です」
あ、そうそうリチャード!!
「リチャードさんは、いつもマーゴット様とご一緒のイメージだったので。ベルファント王国でもいつもご一緒にいらっしゃるんですか?」
「いえ、国に帰ると持ち場が違うのでほとんど会わないです」
何となく、マーゴット様は話しながら、残念そうな表情をされている。
「リチャードさんはマーゴット様の専属のボディーガードの方かと思ってました」
「そんな風に見えていたのですね」
「はい、いつもリチャードさんがマーゴット様を見ていらしたので」
「彼は護衛ですから、、、」
マーゴット様は言葉尻を濁した。
おっ、この反応。
恋バナ?もしや秘められた恋?と少し期待してしまう。
「ところで、ロイ王太子殿下に婚約者様はいらっしゃるのですか?」
マーゴット様をあまり追い詰めても行けないので、少し話をズラしてみた。
「兄には今は婚約者は居ないですね」
「今は?」
「、、、亡くなったのです」
「え、お亡くなりになった?、、、すみません。存じ上げないとは言え失礼しました」
「いえ、お気になさらず」
あー、またしても地雷踏んだよ私。
2人の間に無言の空気が流れる。
トントン、部屋をノックする音が聞こえる。
「ご歓談中、失礼いたします。お食事のご用意が整いました」
執事のモネじいの声だ。
「はい、ありがとう。参ります。」
「用意が出来たようです。食堂までご案内いたしますね」
マーゴット様に声を掛けて、私達は一緒に食堂へと移動した。
「これは初めて食べました。とても美味しいです」
マーゴット様が絶賛してくださっているのは、牛肉がゴロゴロ入ったシチューだった。
そんなに珍しくもないのでは?
ベルファント王国って和菓子もだけど、どんな食文化なんだろう?
「マーゴット様はどんなメニューがお好きなのですか?」
「そうですね、我が国は海に面しているので、お魚料理が多い気がします。新鮮なお魚は加熱せずとも食べられるのです」
「加熱なしで!?かなり新鮮なのですね」
「はい、輸送も早く出来るように工夫していると聞いています」
「なるほど、お隣の国同士なのに食文化も結構、違うのですね」
生魚が、食べれるって日本みたい。
「もしかして、生卵とかお米とかもありますか?」
「はい、卵かけご飯は大好きです」
あー、これは作者が意図的に日本感を出した?
すっかり忘れそうになってたけども、この世界は乙女ゲームの世界かもしれないのよね。
「美味しそうですね。私も食べてみたいです。いつかベルファント王国にも行ってみたいです」
私がそう言うと、マーゴット姫の表情が明るくなった。
「本当に?エリーゼ様、ぜひベルファント王国へ遊びにいらして下さい。兄も喜ぶと思います」
「兄はランドルの妖精と言われるエリーゼ様に会いたいといつも言っていたのです」
「社交辞令でも嬉しいです。ありがとうございます」
ランドルの妖精、まだ私の事をそんな風に呼んでくださる方が居るなんてと私は驚く。
確かに子供の頃、領地で野山を駆け回っていた時によく言われていたなと懐かしくなった。
「それにしても、マーゴット様はロイ王太子殿下と仲良しなのですね。お菓子もそろそろあちらへ届く頃では?喜んで下さるでしょうね」
「ええ、きっと喜んでくれると思います。また気になるお店が出来たらエリーゼ様、是非ご一緒して下さい」
「はい、是非一緒に」
私は何の駆け引きもなく答えた。
6月10日 くもり
マーゴット様が我が家へ遊びに来た。2人で夕食を食べた。今朝、初めてルイス様と、、詳細はさておき、記念すべき日になりました。
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