第4話 発見

 6月5日晴れ


 今日はマーゴット王女殿下と初めて会った。驚くべき発見アリ。でも、どうしたらいいんだろう?前世でプレイしていた乙女ゲームストーリーが思い出せたらいいのに・・。そうすれば、少しはルイス様のお役にも立てそうなのに~。

 夢に出てこないかな?そうだ!それそれ!!早く寝るのが一番!



 朝、学園に行く支度をしていると、つむじ風が部屋の中に起こる。


大体この後、ルイス様の側近のミヤビがやって来て、急ぎの用事が伝えられるというパターンだ。


先触れを起こしてくれるのはちょっと助かる。


私は急いで身なりを整えた。


「俺のメロディー!おはよう!」


元気な一声をあげて、トレードマークの黒装束姿で、ミヤビは現れた。


「おはようございます。ミヤビ、いつも思うのですけど、メロディって一体?」


「愛らしいエリーゼ嬢のことだよ。ほら、本名呼びだと有事に何かと不便だろう」


胸の前に両手でハート作って笑顔で言われても、、、背筋がゾッとしたわ。


やっぱりちょっと変わっているわよね、ミヤビ。


「それは何というか・・・可愛らしい呼び名をありがとうございます。ところで急ぎの御用ですか?」


「用はもちろんあるんだけどね。それより体調はもう大丈夫なのかい?」


「はい、もうすっかり大丈夫です!」


私は手足をぶんぶん振り回しながらPRする。


「良かった!本当に良かったー!!今日もお嬢が欠席するって言ったら、魔王が王宮の破壊活動を始めそうだったからね」


「魔王!?魔王が現れたんですか!えっいつ?いつですか?」


思わず、私はミヤビに詰め寄って質問した。


「い、いやそういうイミではなくて例えでゴザイマス」


ミヤビは、サッと目をそらした。


それは大変だー!魔王まで出て来てしまったのなら、この世界を救うかもしれない乙女ゲームのストーリーを一刻も早く思い出した方が良いのかもしれない。


何かいい方法はないのだろうかと考え込む。


「いやいやいや、その話は忘れてもらって、、、お嬢は今日は早く登校することは出来ないか?と言うのが殿下からの伝言なんだが、どうだろうか?可能かい?」


ミヤビの声に私はハッと我に返る。


「分かりました。すぐに用意して向かいます。馬車じゃ遅いかしら・・・出来るだけ急ぎますと、ルイス様にもお伝えしてください」


「分かった伝えるよ」


ミヤビは返答したと思ったらすぐに姿を消した。


・・・今気づいた。


ミヤビは忍者だ!!前世の記憶が役に立った。


私は新しい発見にちょっと興奮しつつ用意を急いだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る