第145庫 インタビューです

 なんだか、妙な空気感のまま――僕たちは書物を読み漁る。

 まあ、原因は僕が娯楽に目を向けてしまったからなのだけれど。

 しかし、僕は懲りていなかった。

 どこかのタイミングで絶対に夜の王都に繰り出そうと心に誓う。


 王都についての情報だが、僕は王都紙なるものを発見する。

 もとの世界でいうところの新聞みたいなものだろう。

 最新情報をチェック、記事の大見出しの部分、驚くことに大陸龍が襲撃されたことがすでに掲載されていた。


 大陸龍の写真と共に、見慣れた顔が載ってある。

 なになに――"Nightmares"のリーダーを務めるニャニャン氏が襲撃者を華麗に撃破、その時のインタビューがこちらです。



 ◆ 襲撃者は手強かったですか?


 ――『いやもうぶっちゃけ全然余裕だったっていうか。襲撃してきたタイミングが悪かったですね。自分という最強が乗ってたのが運の尽きってやつ?』


 ◆ ニャニャン氏の今後の目標は?


 ――『んんー、天ですかねぇ? 空を見上げたら自分、皆が目指す高みでありたいなって思っていますよ。この王都にはニャニャンあり、ニャニャンがいるからこそ王都あり的な?』


 ◆ 最後に一言お願いします。


 ――『肉球パンチにゃあっ!』



 気を取り直して次の記事に進もう。

 その他、どこのギルドがどういったモンスターを討伐したか、どういったレアアイテムが手に入ったか。

 ギルドの貢献度ランキング、ゲーム記事のようで見ていて楽しめる内容ばかりだった。

 続いて驚いたのが、このギルドの貢献度である。

 冒険所の活躍度合い、どれだけ功績を残しているか、グラフの数値みたいなものもあり、総合的な評価でランキングが上下しているようだが――"NightMares"がぶっちぎりで一位だった。


 最早、王都で『なにかのため』に動いていたことは間違いないだろう。

 ニャニャンのいう今後の話、白龍の騎士を倒さないといけないという話、色々なものが繋がっていく気がした。

 あとは、ニャニャン本人の口から聞いた方が早いか。

 ふと、隣で静かなナコがどうしているのかと――視線を移す。真剣な顔付きで分厚い書物を読んでいた。

 自然、表紙のタイトルが目に入る。


「……ラブラブ、世界結婚式場、特集?」


 破壊力抜群の羅列である。

 見なかったことにしよう――視線を逸らそうとした瞬間、ナコとバッチリ目が合ってしまう。

 ナコはニコッと柔らかい笑顔を向け、


「……」


 なにも言わなかった。

 その反応が逆に怖い――ぼ、僕からなにか尋ねた方がいいのか? テンプレートながらもよくある質問を投げ掛けてみる。


「ナコは何歳で結婚したいとかあるの?」

「この本によると、オンリー・テイルの世界では13歳から結婚できるそうですよ」


 気のせいかな? 会話が噛み合っていない気がする。


「そうなんだ。お酒の解禁といい、全てがもとの世界よりベースが若いよね」

「ふふ。私、今11歳です」

「うんうん」

「あと2年ですね」


 なにがぁっ?!

 ナコの勢いには参ったものである。いつか、押し負けて――いや、すでに押し負けているのかもしれない。

 新設された扉、開かないことを切に願うのであった。

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