第37話 調査結果

予想外の魔獣が出現した事で中止になった野外学習だが、その原因が特定されたと第二王子殿下から伝えられた。


あの時いち早くスタート地点である先生達の居る場所へ戻り、ブラックタイガーが出現した経緯等の事情聴取を騎士団から受けた私達には事の詳細を知る権利があると第二王子殿下が騎士団に説得してくれたからだった。


確かに原因は知りたいと思っていたから有難いが、あまり王族とお近づきになりたくない私としては微妙な感じだ。


野外学習から一週間後の今日の授業終わりに会議室の一室に私達は呼び出された。


呼び出されたのは、野外学習で同じグループに居たマリア、エリーゼ、私。そして第二王子殿下と側近の侯爵家の子息とお兄様達だ。


説明に現れたのは騎士団から騎士団長と副団長の二人。王子殿下が直接今回の一件に関わっていたと言うことで騎士団長自らが調査をしたらしい。


「授業終わりに呼び出してすまない。先日の野外学習での一件の調査結果が出たので報告させて貰おうと集まって頂いた。本来なら学生の君達に調査内容を知らせる事はないんだが、直接被害にあた自分達には知る権利があると第二王子殿下から要望があった。確かに第二王子殿下が主張する事も一理あるのも事実なので今回は特例として結果を報告させて貰う。だがこの場で知った内容に関しては他言無用でお願いしたい」


騎士団長の言葉に全員が頷く。他言無用と言う事はあまり良い調査結果ではなかったんだろうと誰もが思う。


「あれから森は封鎖し、騎士団で調査した結果森の奥深い場所にまるで獣を呼び寄せる香の魔道具が設置されているのが発見された。設置場所は一件見つけにくい木に穴を開け、その中に入っていた。騎士団の一人が不自然にあいた穴を見つけたんだ」

「魔獣を呼び寄せる香の魔道具?」


第二王子殿下が騎士団長に視線を向ける。


「そうです。その香を焚けばその香りに誘われた魔獣を特定の場所に呼び寄せる事が出来るのです。危険な魔道具ですので国内では一般では購入出来ないようになっている筈ですが、誰がもちこんだのかは未だに判明しておりません」

「.....それは....余程巧妙なのか、他国から持ち込んだのか....判断が難しいですね」


お兄様も頷く。一般では購入出来ない代物なら貴族だろうが、下手に証拠が残るようなやり方はしないだろう。すぐに犯人がわかってしまうのだから。


「勿論引き続き調査はしますが、今のままでは犯人の特定は難しいでしょうね」


この国の騎士団の凄さは誰もが知っている。その騎士団の騎士団長である彼がそう言うのならば、今回の犯人を探し出すのは難しいのだろうな、とその場に居る者はそう感じたのだった。


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