第34話 野外学習当日・3
走って走って、漸く森の入り口が見える。沢山の小動物が足元を走り抜け踏みそうになるが、それは生存本能かわ働くのか踏みそうになる前に動物の方が先に避けてくれていたので実際には踏まなくて済んでいた。
入り口には数人の先生達が立っていて、いきなり森から現れた大量の動物達に何があったのかと困惑を隠せない様子に見えた。
「先生!!」
「マルシーネ嬢に第二王子殿下!?これは一体」
私達が先生を大きな声で呼べば、その声が聞こえたのか此方を振り返り私達に視線を向けた。私達は慌てて先生に駆け寄る。マリアとエリーゼは先生の顔を見て安心したのか、その場に座り込んだ。どうやら森の中から戻って来たのは私達のグループだけのようだった。
「僕達もわからないんですが動物達が一斉に森の奥から飛び出してきて.....」
「私達には目もくれず森の入り口に向かって走り抜けたんです。まるで何かから逃げるみたいに」
第二王子殿下に補足するように現状を説明するルナは次の瞬間強い魔力を森の中から感じた。第二王子殿下と先生もそれに気がついたように森に視線を向ける。
「....今のは.....」
「先生、森の中から何か強い魔力を感じました」
第二王子殿下がそう告げたと同時に咆哮が何度も森に響き渡り、森から大量の鳥が飛び立つ。
「な、何なの?ルナ」
「わからないわ.....マリア....でももしかしたら強い魔獣が出たのかも.....」
「え!?でもこの森に出るのは弱い魔獣って先生が言ってましたわよね?」
エリーゼが先生達を振り返る。
恐らく先生達に取っても予想外の事なのだろう。そもそもここは"学園内にある森"なのだ。歴代の学生達がずっと野外学習の場所として使われて来た森。ここにそんな強大な魔獣が居たら間違いなく立ち入り禁止にした上で騎士団に討伐依頼がなされているだろう。それがなかったと言うことは、間違いなくこの森は安全な場所だったに違いない。だからこそ、今日も野外学習が決行されたのだろう。
それなのに何故今日に限って.....?まさか誰かが誘き寄せた?何の為に?
ルナは何とか冷静にこの状況を分析しようとしていた。
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