第32話 野外学習当日・1

野外学習当日になった。一学年は森の入口に集められ、一人一枚ずつ地図を渡され野外学習の担当教諭から私たちは説明を受ける。


「今配った地図はこの森の地図になる。地図の中央が中継地点になり、各グループ毎にこの中継地点まで到達する事が今回の野外学習のクリア条件となる。中継地点までの森の中には魔獣が出る。それをグループメンバーで対処する事も中継地点に到達出来るかどうかの鍵になる。」


魔獣と言う言葉が出てきた途端にざわつく生徒に安心させるかのように言葉が続けられる。


「魔獣と言っても極々弱い物しか出ないから、君達が既に学習している魔法や剣等で対処出来るだろう。グループ全員で力を合わせれば必ず出来る筈だ」


その後グループによって出発点が別けられて居るとの事で、私達は自分達の出発地点へと向かった。


出発点は全部で三ヵ所あり、A地点、B地点、C地点だ。私達はC地点になった。


「じゃあ行こうか」


第二王子殿下が出発の合図を出してゆっくりと森の中を歩き出す。側近候補の侯爵家の次男を先頭に、第二王子殿下、私達と順番に歩いていく。


森は静かで陽の光が木々の隙間から地面を照らし小鳥の囀ずりさえ聞こえてくる。


.....本当にこんな森で魔獣が出るのかしら?


「綺麗な森ですわよね」

「本当に。こんな森で魔獣が出るなんて信じられませんわね」


マリアとエリーゼも同じ事を考えたのかそう呟く。


因みに今日の私達の衣装は魔獣と戦闘になることを踏まえてパンツスタイルだ。森を歩きやすいようにロングブーツも着用している。一見してみると乗馬スタイルに似ている。


「小さい魔獣ならあまり関係ないからね」


第二王子殿下が私達の会話に加わってくる。魔獣について詳しいのだろうか?


「殿下は魔獣の戦闘になったことがあるのですか?」


マリアがそんな殿下の発言に興味を抱く。公爵家のご令嬢が魔獣に関する事を見聞きすることは殆どないから興味があるのだろう。


「兄上達と一度だけ騎士団の訓練に見学に行った事があってね。その時もちょうどこんな森だったよ。急に魔獣が集団で現れて騎士団が戦うのを間近で見ていたんだ。だから一見静かで綺麗な森でも油断はしないようにと勉強になったよ」

「まぁ、そんな事が......」


それは確かにそんな経験をすれば教訓にもなるだろうな、と思う。逆にトラウマにならなくて良かったねと同情してしまいそうになる。


「まぁ、だから今は凄く綺麗な風景だなって思っていても周囲の警戒だけはしておいた方が良いと思う」


.....何かしら目的があって私達に近づいて来たんだろうと思ったけど以外と真面目に野外学習に参加する気があったんだなとルナは考えを改めたのだった。


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