第29話 野外学習
その日、マリア様の話に出た野外学習実施の告知が各クラスの担任から発表された。
「野外学習は基本的には魔法の実地訓練になる。グループに別れて貰い、指定されたゴール地点まで自力で到達する事だ。場所は学園の敷地内にある森で普段は結界を張っているから学園内には出ないが当然魔物も出る。君たちでも倒す事が可能な弱い魔物ばかりなので、魔法でそれを倒すことが実地訓練のひとつだ」
担任の先生がそう説明をした途端、教室内にざわめきが起こる。
毎年少なからず怪我人が出るってそう言う事なのね。確かに学園に入ったばかりの魔物の討伐経験のない子がいきなり実地訓練で森に入ったらそうなるわよね......。
この学園、意外とスパルタ教育なのね......
「魔物退治だなんて.....大丈夫なのかしら?」
「ええ......」
マリアとエリーゼの顔色があまり良くないように見える。どうやらこの二人は今まで魔法の訓練で魔物を倒すなどした事はないらしい......だよね、凄く深窓の令嬢な感じだもんね二人とも。
ちなみに今世の私も魔物の討伐の経験はない。
けれど前世が魔王だったのと、その前が聖女だった事もありあまり魔物に対する恐怖心はない。恐らくその辺りの感覚がおかしいのかも知れない。
「二人は攻撃魔法は使える?」
「ええ、一応公爵家お抱えの魔導師の方に学園に入る前から習ってますわ」
「私も家庭教師の方から。ルナはどうですの?」
「私はお母様とお父様からそれぞれの属性の攻撃魔法を教えて貰ってました」
ここだけの話、普段はお父様もお母様もお優しいのだけど、魔法の授業の時は人が変わられるので魔法に失敗する事よりも二人が怖かったわ
「まぁ!ルナ様のご両親はお二方共にご結婚されるまで優秀な宮廷魔導師だったとお聞きした事がありますわ」
「え?」
そうだったの!?
マリアからの意外な情報に、全く二人からそんな事を聞いたことがない私は驚く。
「私もお父様から聞いたことがあります。何でもドラゴンを倒したこともあるとか」
マジですか!?お父様お母様何やってるんですか!?何をしたらドラゴンの討伐だなんて......
「私、初めて聞きました....まさかお父様達がそんな事をしていたとは」
「結構王宮では有名な話みたいですけど、ルナは今まで社交もされてなかったので仕方がないのでは?」
「そうですわ。公爵様達も昔の話を娘にするのは恥ずかしかったからだと思います。私の父もそうですから」
......マリアもエリーゼも必死に私を慰めようとしてくれているのがわかって嬉しくなる。
屋敷に戻ったらお母様達に要確認よね!うん。
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